コーヒーの歴史 各種抽出器とインスタントコーヒーの発明

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鍋で抽出からネルドリップ、そしてペーパードリップへ

 ヨーロッパで流行したコーヒーですが、この当時はまだ濾さずに沈殿させた上澄みをカップに移して飲んでいました。

 沈殿が不十分だったり最後のほうに注がれる部分はコーヒーの粉のかすが混じるため、時には卵などを混ぜて取り除いていたそうです。

 そうするうちに、鍋中に散らばらなければ良い、ということで煮出す際に麻袋などに挽いたコーヒー豆を詰めて鍋に入れる方式が取られるようになりました。

 このやり方が広まるうちに改良が重ねられ、麻は綿のような柔らかい布に、サイズも扱いやすい小さなものになり、やがて煮出すのではなく細かく挽いた豆を袋に入れて直接お湯をかけるという、現代のネルドリップの原型が誕生。

 これを基に、1763年にネル付きのドリッパー、1800年頃にはドリップポットが発明され、1908年には現在も広く使用されているペーパードリッパーが発明されました。

「ファーストウェーブ」 各種抽出器の発明と大量生産によるコーヒーの普及

 これに前後して、パーコレータ式やサイフォン式の原型がフランスで、水蒸気を使用したエスプレッソ式がイタリアで開発され、アメリカでは大量生産に特化した焙煎機と「生豆ではなく焙煎した状態でコーヒー豆を販売する」という方式が編み出されます。

 そして、産業革命による生産・流通の大量化・技術革新によって価格の下がったコーヒーは、広く一般的な飲み物として愛飲されるようになったのです。

 この19世紀中ごろから20世紀に至るまでの流れを、コーヒー界の「ファーストウェーブ」と呼びます。

 この時期に、コーヒーは世界中で認識され、飲まれるようなっていきます。

インスタントコーヒーの発明

 1901年には、シカゴ在住だった日本人化学者加藤サトリ博士によって世界初のインスタントコーヒーソリュブルコーヒーと名づけられていました)が博覧会に出展されました。

 しかし、当時は一般の人々から注目されることはなく、荷物を増やせない南極探検隊の食料としてわずかに購入されただけでした。

 インスタントコーヒーが一気に普及するのは第二次世界大戦後。

 1907年からアメリカ軍が兵士の携行品として採用し、二度の大戦中に広まったそうです。

 その背景には、栽培開始から100年足らずで世界一のコーヒー生産国となり、それゆえにコーヒーの価格に翻弄されたブラジルの苦悩がありました。

コーヒー大国ブラジルの苦悩とスイスの大企業の思惑が、インスタントコーヒーの爆発的普及へとつながる

 20世紀初頭、ブラジルではコーヒーの過剰生産による価格暴落に苦しんでいました。

 需要は年々伸びてはいるものの、不安定な世界情勢にあわせて大きく増減し、見通しが立ちづらい状況でした。

 1920年にはアメリカの禁酒法に伴うコーヒーの大量輸入で一時的にバブル状態になるも、1929年からの世界恐慌で各国の需要が激減し、再び危機に陥ります。

 この状況を打開しようと考えた州政府は、1930年にスイスのネスレに余剰コーヒー豆の引取りを依頼します。

 ベビーフードや粉ミルクに変わる製品を模索していたネスレはこれを了承。大量で安価なコーヒー豆をもとに、インスタントコーヒー「ネスカフェ」が製造されました。

 そして、ネスカフェが第二次世界大戦時に軍備品として使用されたことで、インスタントコーヒーが世界中に広まる契機となったのです。

 その後、手間をかけずにすぐ飲むことのできるインスタントコーヒーは、現在に至るまで世界中で消費されています。

 ちなみに、現在は他の生産国の増産によってブラジルコーヒーのシェアは下がり続けていますが、それでも世界生産量の1/3以上を占めており、ブラジルでの豊作・不作がダイレクトにコーヒーの価格に影響する状況は変わっていません。

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