コーヒー用語集 さ行

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サードウェーブ

2000年頃から始まった、史上三度目の大きなコーヒー界のムーブメント。
コーヒーの産地や種類、その栽培方法・製造方法に着目し、それぞれの特徴を楽しもう、という動きが最大の特徴とされる。
スペシャリティコーヒーの味や香りの違いに関心を向ける消費者が増え、それに伴って日本の喫茶店で昔から行われていた「お湯の温度から器具、淹れる際のテクニックに至るまでしっかりこだわる」「1杯~数杯ぶんだけを丁寧に淹れる」というハンドドリップの方式が世界中で注目されることとなった。
同時に深煎りだけではなく浅煎りにもスポットを当てたショップも増え、その草分け的な存在である「ブルーボトルコーヒー」が東京にも出店して大きな話題となった。
この波は今現在も広がっており、現在のコーヒー界は大きな変化のさなかにあるといえる。

サーバー

ドリッパーなどの下にセットし、抽出されたコーヒーを受ける容器。
抽出後はドリッパーをはずし、それぞれのカップへコーヒーを注ぐ(サーブする)ためこの名が付いている。
いろいろなメーカーからサイズも種類も様々な製品が発売されているが、一般的には数杯分のコーヒーが入る容量の、ガラス製のものが多い。
ペーパーフィルタードリッパーのメーカーは基本的に自社製のサーバーを使用することを推奨しているが、ドリッパーが傾いたり不安定になったりしなければ良いので、同一メーカーのものが手に入らなくても問題はない。

細挽き

コーヒー豆の挽き目(粒度)の一種。
かなり細かい砂粒状程度とされるが、具体的なメッシュなどは定義されていない。
粒が小さい分お湯の浸透、成分の抽出が非常に早く、反面お湯の通過に時間がかかる。
そのため、エアロプレスマキネッタなどお湯をさっと通して抽出する方式に適している。
また、ドリッパーで淹れる場合はお湯が滞留しやすいため、過抽出にならないよう気をつける必要がある。
粒子が全体的に細かいため微粉の影響を受けづらく、使用するミルの種類や粒度の調整は比較的簡単な方と言える。

サイフォン

水蒸気の圧力を利用してコーヒーを抽出する器具。
管でつながれた上下のフラスコと支柱、アルコールランプで構成される。
下のフラスコで沸騰させたお湯を蒸気圧で上部のロート内に逆流させ、一定時間抽出したら火をはずしてコーヒーが戻る際に濾過する。
理科の実験をしているような器具の外見や不思議なお湯の動きが特徴だが、コーヒーを淹れる方法としても実は理にかなっており、豆の種類や焙煎、挽き目によっては他の方式よりもおいしく淹れられるとしてこだわりをもつファンも多い。

細胞壁

植物の細胞を構成する、セルロースなどでできた固い壁のような構造。
コーヒーの場合この細胞壁が他の植物に比べて固く、焙煎時に内部にガスが溜まって高圧になる。
そのため、焙煎中に豆が膨らみ、ハゼが起こるとされている。

サビ病

ある種の菌に寄生されることで発祥する、植物の病気。
葉からサビ状の粉をふいたような症状を呈し、やがて樹全体の葉や樹皮に症状が広がり枯れてしまう。
コーヒーノキ、特にアラビカ種のほとんどはこの病気に非常に弱く、中間寄生体を媒介し複数年にわたって断続的に広がるため、流行し始めると壊滅的な被害が発生する。
過去何度か大発生したことがあり、被害の大きかった地域ではアラビカ種からロブスタ種への大々的な植え替えを余儀なくされるなど、産業全体に大ダメージを与えた。
そのため、この病気に対する耐病性が高い品種は栽培用としても交配用としても需要が非常に大きい。

酸味

「すっぱい」と感じる味のこと。
コーヒーは生豆の時点ではかなりの酸味を持っているが、焙煎が進むごとに成分が変化し、2ハゼが起こる頃にはほとんど感じられなくなる。
豆の劣化や酸化でも酸味が発生し、また焙煎の研究が進む前は水分の抜けきっていない、生臭さの残る浅煎り豆が多かったため、酸味がある=おいしくないコーヒーという認識が蔓延したこともあった。
コーヒー本来の酸味はシトラス系やヨーグルト系の味わいにも例えられ、好ましいものとされる。
近年ではコーヒー豆の個性を楽しむというサードウェーブの影響もあり、浅煎り豆とコーヒーの酸味も見直されつつある。

シアトル系

スターバックスやタリーズに代表される、「エスプレッソドリンクがメイン商品」「商品を飲み歩きに適した容器でテイクアウトできる」などの特徴を持ったカフェ
スターバックスの発祥の地がアメリカのワシントン州・シアトルであることからこう呼ばれる。

自家焙煎

専門業者ではなく、コーヒーを淹れる店や人が自身で焙煎を行うこと。
かつては、こだわりを持った喫茶店が「自店で焙煎していますよ」という意味で使用していることが多かったが、近年では一般消費者が生豆を購入して自分で焙煎することを指すことの方が多くなった。
焙煎度合いを細かく好みに合わせることができる他、生豆の状態をチェックすることができるためより上質な豆を使用できるというメリットがある。
焙煎のテクニックそのものはもちろん、同じ豆で焙煎の深さをかえて味の変化を見たり、豆の種類ごとの適正な焙煎度合いの追求など、つきつめていくときりが無いほどの奥の深さがあるとされる。

手動式ミル

人の手でハンドルを回してコーヒー豆を挽くミル。
いろいろな製品が存在するが、主に臼歯(コニカル)式のものが多い。
ハンドルを回すことで歯が回転し豆が挽かれる構造になっている。
電動式に比べて安価で小型なものが多く、手入れも簡単なので気軽に使用できるのが特徴。
ただ、電動式に比べて時間がかかることやイメージよりも力が要る、トルクが安定しないので挽き目がばらつきがちになるなどのデメリットもある。

純喫茶

酒類の提供や女性の接待などのない、純粋にコーヒーを楽しむための喫茶店。
戦前、サービスを競い合ううちにコーヒーと関係のない方向へ発達しすぎた「特殊喫茶」と区別するために、店側が自称した呼び方。
近年は特殊喫茶側が規制に伴って呼称を変えたため区別する必然性はなくなったが、ある種の誇りを持って今もこの名称を使用し続ける店も多い。

シェードツリー

日陰を作る目的で植えられる植物。
コーヒーノキは直射日光や強風に弱く、栽培時にはシェードツリーが用いられることが多い。
バナナなどの大きく葉の広い木が採用されることが多い。

シティロースト

焙煎の程度の一種。
浅いほうから5番目、深いほうから4番目の煎り加減で、一般的にイメージする「中煎り」とされている。
苦味甘み、酸味のバランスが取りやすく、ほとんどの豆に適する煎り加減といえる。 ちなみに、名前についている「シティ」は「ニューヨークシティ」をあらわしているとのこと。

シナモンロースト

焙煎の程度の一種。
浅いほうから2番目で、ほとんどの豆にとってはまだ浅すぎる焙煎具合とされる。
焙煎の最初にかなり上手に水分を飛ばしておかないと、生豆の持つ野菜のような生臭さ、土臭さが残り、コーヒーにも溶け出してしまう。
豆の色がシナモンのような薄い茶色なのでこの名が付いた。

植民地

国外に移住者が移り住み、本国政府の支配下にある領土。
現地にもともと住んでいた人々は、労働力として使役されることが多い。
コーヒー栽培は、ヨーロッパ諸国による植民地支配と共に世界中に広がっていったと言っても過言ではなく、現在も生産国と消費国の力関係や巨大プランテーションによる栽培方式などに痕跡が残っている。

渋味

舌や口内の粘膜が収縮することによって感じる味覚。
厳密には痛覚の一種とされる。
コーヒーの場合、クロロゲン酸やその分解物であるコーヒー酸、キナ酸などによって引き起こされ、適度で好ましい味わいの一部とみなされる。

シルバースキン

コーヒーチェリーの中で、種子を覆っている皮の一種。
外皮から数えて一番種子(生豆)に近い皮膜であり、これをはずしたら脱殻(だっかく)工程は終了する。

水蒸気

高温になるなどして、水が気体になったもの。
密閉することで容器内の圧力を容易に上げることができ、マキネッタやサイフォンなど、コーヒーの抽出に関わることも多い。
また、エスプレッソマシンでもお湯に圧力をかけたり、ミルクをスチームするのに使用されている。

スクリーンサイズ

コーヒー豆の大きさを示す単位。
センターカットと直交する方向の中央部の直径が基準となる。
一定のサイズの目のふるい(スクリーン)にかけ、落ちずに残ったものを合格とする選定方式を取る。
一部の国では、このスクリーンサイズが豆の等級を決める要素となっている。

スターバックス

1971年にアメリカ合衆国・ワシントン州の都市、シアトルで開業したカフェ。
1986年にはじめた「カフェラテなどエスプレッソが主体の商品構成」「飲み歩きしやすい紙カップでのテイクアウト」「ただの飲み物だけではなくライフスタイル全体への提案」といった、いわゆる「シアトル系」の営業方針が大ヒット。
大量生産・大量消費でコーヒーの消費量が増大したファーストウェーブに対して、セカンドウェーブと称されるカフェやコーヒーのあり方に対する変化をもたらした。
現在は60以上の国に18000店舗を越える店を構える世界的企業に成長しており、日本にも1996年に一号店が進出してきて以来、すでに1000店舗近い店ができている。

ストレート

カフェのメニューにおいては、コーヒー豆をブレンドせずに単一品種で使用したコーヒーを指す。
広義では砂糖やミルクを加えていない、いわゆるブラックコーヒーを指す場合もある。

ストロング

特にコーヒーにおいて、味や香りが強烈であること。
苦味やコクの強い、ボディの重たい味わいを指すことが多い。
ヨーロッパ諸国などエスプレッソ中心のコーヒー文化を持つ国々ではより良い特徴とみなされることが多いが、一般的な日本人にとってはちょっとパンチが効きすぎている、と感じるものも多い。
対義語は「マイルド」。

スペシャルティコーヒー

生産段階から確実な管理がなされている、品質の高いコーヒー。
スペシャリティコーヒーとも呼ばれる。
「産地、品種などがはっきり分かる」「劣化の少ない流通手段を取っている」「欠点豆の数や香味などの点で高品質であると認められる」など、一定の基準を満たしたものを指すが、「 カップオブエクセレンス」のような公的な取り決めがあるわけではなく、求められる水準も国や団体ごとにまちまちとなっている。
そのため、どの国のどの団体が、どのような基準でスペシャルティと認定しているのかはチェックしておいたほうが良い。
スペシャルティコーヒーには本来、「コストをかけて良質なコーヒーを生産してくれている生産者に相応の対価を支払う」というフェアトレードの理念も含まれているため、正当な基準と価格を示しているものを選定するようにすべきと言えるだろう。

炭火

焙煎に使用される熱源の一つ。
木炭や練炭を燃やすことで熱を発生させる方式。
高火力が得やすく燃焼による水蒸気の発生が無い、七輪などを使用することで輻射熱も利用することができるなどの利点があるが、火力が安定しないことから焙煎での使用には経験と慣れが必要とされる。
一般的に炭火で焙煎することで、コーヒーに独特の香味が加わると考えられているが、科学的には考え難いとされている。

生産性

一定の労力、期間などのコストに対して、期待できる生産量の度合。
コーヒーノキはもともとあまり生産性の良い植物ではないが、品種によってその度合に大きな開きがあるため、一時期は品種改良や新種の研究でより生産性の高いものが求められた。
生産性の低い例としては、隔年でしか収穫できないブルボン、樹自体が大きく成長して場所をとる上に多くの栄養を必要とするマラゴジペ、商業用に収穫できるようになるまで通常の1.5倍以上の期間がかかるゲイシャなどが有名。
これらは品種改良などによって生産性が向上した品種に比べて劣るとされてきたが、近年の品種ごとの個性を重視する風潮によって見直されつつある。

成分

ここでは、コーヒー豆に含まれるたんぱく質や有機酸などの物質のこと。
炭水化物、たんぱく質、アミノ酸、ショ糖類、脂質が多いとされ、収穫時から生豆、焙煎後と状態によって成分比も変化していく。
苦味成分のクロロゲン酸などは熱と水分量によって変化し、抽出されたコーヒーのもつ苦味の質を決定付けてしまうとされる。
逆に同じ苦味成分のカフェインは、焙煎の仕方や焙煎度合いによる変化はほとんど無い。
そのため、「苦いコーヒー、深煎りのコーヒーほど眠気に効く」という説は誤りとされている。

セカンドウェーブ

1960年代から2000年頃まで続いた、コーヒー界の大きな動き。
スターバックスなどのシアトル系と呼ばれるコーヒーチェーンを中心に、深煎りの豆を使用したエスプレッソドリンクが大流行した。
それまでの浅煎りで品質を重視しない、ただ消費するだけのコーヒーから、おいしさや自分のライフスタイルに合った提供方式など、「選ぶ」コーヒーへと消費者の意識がシフトしたことが最大の特徴とされる。
これによってコーヒーを飲むシーン自体が大きく変わり、同時に「コーヒー豆にも種類がある」「おいしいコーヒー、高価なコーヒーというものが存在する」という認識が広まった。

セルフサービス式

カウンターで代金と引き換えに商品を受け取り、店内の座席を利用する方式。
キャッシュオンデリバリーとも呼ばれる。
1980年にドトールカフェがはじめて本格的に導入したとされている。
店員が席まで注文を取りにいったり商品を運ぶフルサービス式に比べて店側の負担が少なく、少人数での営業が可能になる。
客側も店員を呼んだり会計で待たされることがなくなるため、忙しいビジネスマンを中心に支持を集め、急激に普及した。

センターカット

コーヒー豆の、平面になっているところに見られる切れ込み。
断面を見ると、ただの切れ込みではなく内部に向かって巻き込むような形状になっていることが分かる。
生豆で購入すると、稀にシルバースキンの一部が取りきれずに挟まっているような状態になっていることもあるが、焙煎時に取り除かれるので焙煎前に無理に取ろうとする必要はない。

ソリュブルコーヒー

直訳すると「可溶性コーヒー」。
1901年にシカゴ在住の日本人・加藤サトリ博士によって博覧会に出展された、世界初のインスタントコーヒーがこう名付けられていた。
当時は現在に比べて味や香りがかなり劣り、ライフスタイルなどからも手軽さや利便性はあまり一般の人々には支持されなかった。
しかし、アメリカ軍の携行品として採用され、それが第二次世界大戦中に世界中に広まると、戦後には需要が拡大。
ゆっくりとコーヒーを淹れる時間のない現代人のライフスタイルや、商品の改良による香味の向上にも押され、現在ではなくてはならない品として世界中で愛飲されている。

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