コーヒー用語集 な行

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ナチュラルプロセス

コーヒーチェリーから生豆を取り出す処理のうち、果肉をつけた状態で干す方式。
元々は「ドライプロセス」と呼ばれていたが、ドライはウォッシュトに対して質が劣るというイメージがあり、近年のスペシャリティコーヒーへの注目や嗜好の変化などで需要が増えるのに合わせて、より良いイメージを持つ「ナチュラル」という名称が使われるようになった。

生豆

コーヒーチェリーから取り出された後、焙煎する前のコーヒー豆
保存性が高く、生産者から小売までは生豆の状態で流通するのが一般的である。
生産処理で多少の乾燥工程は経ているものの、生豆の状態では10%程度の水分を含んでいる。
比較的新しい生豆をニュークロップ、長い期間生豆の状態で保存されたものをオールドクロップといい、基本的にはニュークロップの方が上質なコーヒーになりやすいとされる。
ただし、じっくりと「枯らす(水分を抜く)」ために適切に保存されたいわゆる熟成豆は、ニュークロップでは引き出せない深いコクを持つとも言われ、近年研究や議論が盛んになってきている。
昔は60~70kg単位でしか購入することができず、一般人が少量で購入して自家焙煎することは難しかったが、最近ではインターネットやショップを通じて様々な品種の生豆を気軽に買い求めることができるようになっている。

生焼け

焙煎したコーヒー豆の一部(通常は中心部)に、火が通りきっていない部分が残ること。
火力が強すぎたり焙煎にかける時間が短すぎることが原因で起こり、生豆独特の臭みが混じったコーヒーになる。
内部までしっかり熱が通るように熱源との距離などをコントロールすることで防止することができるが、浅煎り中煎り 前半ではこれが難しく、慎重な見極めが必要になる。
かつて、酸味のあるコーヒーがまずいコーヒーとされた理由の一つともいわれている。

軟水

溶けているイオン量の少ない水。 水溶液内にまだまだ他の物質が溶け込む余地があり、コーヒーに使用するとより濃いコーヒーになりやすい。
雑味なども溶けやすいため、お湯の温度や豆の挽き方などに注意が必要。
日本は全体的に軟水寄りの水質のところが多く、欧米諸国に対して抽出方法により厳密さを求められるため、一杯ずつ慎重にドリップする方式が広まったという説がある。

苦味

味覚の一種。
口腔内のたんぱく質の変質によって引き起こされると考えられており、収斂味、渋味などと同種の感覚とされる。
コーヒーの成分の中では、クロロゲン酸カフェインが苦味の元となる。
水分の含有量によって感じ方が変わり、また熱による変質で苦味の種類も変化するため、焙煎の仕方や過程、抽出方法によって同じコーヒー豆でも異なる苦味を持つようになる。

ニュークロップ

収穫後数ヶ月程度しか経っていない、非常に新鮮なコーヒー生豆。
乾燥工程は経ているもののかなりの量の水分が残っているため、焙煎工程のうち水分を抜く作業が難しくなる。
香味成分がフレッシュな状態で残っており、うまく仕上げられれば特徴の際立った風味の良いコーヒーになりやすい。
現在日本で流通しているスペシャルティコーヒーは、大半がこの期間のものと言われている。

熱源

焙煎を行う際にコーヒー豆に熱を与えるための高温の物質。
炭火、ガス、電熱線などいろいろな燃料・器具が使用されており、一般的には熱量の変化の少ない、求める温度域を保持しやすいものが良いとされているが、使用する焙煎機や技術によって最適なものは異なってくる。
炭火は七輪などに入れて使用され、燃焼で水蒸気の発生しない、輻射熱を伴う高温が得られる熱源だが、火力を安定させるのは非常に難しく、他の方式に比べて手間がかかるのが難点。
ガスは安定した高火力を得やすく、手軽に使用できる器具だが、燃焼によって水蒸気が発生するため直火式では水分を飛ばす工程がうまくいかない危険性もある。
また屋外で使用する際には風や外気温の影響を強く受けるため、風よけなど対策をしっかりと立てる必要がある。
電熱式は水蒸気も発生せず安定した加熱を行うことができるが、大抵火力が小さすぎるため焙煎器をかなり近づけねばならない。
電源を確保しなけれはいけないので、屋外での使用が難しいところもデメリットといえるだろう。
なお、焙煎器を絶えず振り続けなければいけないことから、IHコンロは焙煎には向かないとされる。

熱風式焙煎機

火で炙らずに高温の熱風を使用して焙煎する方式の機械。
バーナーなどで熱した空気を吹き込むことで豆の温度を上げて焙煎するため、直火式半直火式のように機械に接している部分が焦げてしまうことがない。
あたえたカロリーを効率よく使用することができるため、比較的短時間でむらのない焙煎ができるとされている。
家庭用の小型ロースターでは同じ方式のものはない。

ネル

コーヒーを淹れる器具の一つで、布(主に綿)でできた袋状のフィルターでコーヒーを濾すドリッパーの一種。
現在でも使用されているコーヒーを淹れる器具としては、イブリックについで二番目に古い歴史を持っている。
元々は流通時にコーヒー豆が入っていた麻袋を使用して、イブリックや大鍋で淹れたコーヒーがらを濾したのが起源で、広まるうちにサイズや素材が改良されて現在の形になった。
ペーパーフィルターに対して、ドリップ中も形状が安定せず高い技術力が要求されることや、乾燥させると異臭の元になるため使用後は水につけて保管しなければいけないことなどから、一般向けというよりはプロ、もしくは上級者向けとみなされることが多い。 布を通すため油分や雑味が落ちづらく、すっきりとした味わいになる。

農園

野菜や草木を育てる農場。
一般的にはあまり規模の大きくないものを指す。
コーヒーの農園も、一部の元プランテーションだった大規模生産地を除き、数ha~数十ha程度の小規模なものが多い。
また、アラビカ種コーヒーノキの栽培可能条件の関係で、高地の斜面など険しい自然条件の中で運営されているものが大半とされる。
近年まであまり農園ごとの品質の差は注目されてこなかったが、わずかな条件や技術の差によって風味が変わることが知られるようになり、特にスペシャルティコーヒーの分野では農園まで限定した商品もよく見られるようになった。
エアルーム系品種のゲイシャで注目を集めた、パナマのエスメラルダ農園などが有名。

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