焙煎に必要な道具

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コーヒー豆焙煎に必要な道具、というと、お店にあるような煙突付きの大きな焙煎機を思い浮かべていませんか?
もちろん、スペースなどに余裕があれば個人で使っても良いのですが、一台数百万円するうえに、一回の焙煎で1kgとか3kgとかのコーヒーができてしまうので、どんなにコーヒーが好きな人でもおいしいうちに消費するのはちょっと難しいかもしれません。
それに、自分の好きな種類の豆を好きな状態に焙煎するためには、何度も試して調整していく、というトライ&エラーの過程が必要です。
やはり一回100~200g程度ずつ試してみるのが一番ですが、そうするとそんなに大掛かりな道具は必要ありません。
生豆のほかに用意するのは、キッチンスケール、焙煎器、ストップウォッチ、熱源、ざるとうちわ、あとは記録用のノートくらいです。
一つずつ確認してみましょう。

キッチンスケール

いわゆる「はかり」のことです。
焙煎器によっては一回に焙煎する生豆の適量を指定しているものがあります。
これより大幅に少なかったり多かったりすると、焙煎が一気に進んで中が生焼けのままになったり、攪拌がうまくいかず焙煎しすぎの部分と火の通りきっていない部分が混在したりと、いろいろな不都合が起こりやすくなるのです。
また一回あたりの分量にばらつきがあると、せっかくデータを取っても微調整することができなくなります。
狂いのないキッチンスケールを用意して、しっかり軽量するようにしましょう。
高価なものや高機能なものは必要ありませんが、場所をとらず、器の重量を差し引いて軽量する「風袋」の機能が使いやすい電子式のものがおすすめ。
余程こだわるのでなければ、表記は1g単位のもので大丈夫です。

焙煎器

自己流を極めた人々の中には、フライパンや大きめの茶漉しなどで焙煎するという人もいるそうですが、最初からある程度の味を求め、再現性を確保したいならやはり焙煎器は必須といえます。
電動式のものやアルコールランプなどの熱源と一体化した回転かごを持つものなどもありますが、最初は手で持って熱源の上で振る「手焙煎器」が手軽です。
手焙煎器は、底部が網状になっている「直火式」と、底部が鉄板や陶板になっていて直接火にさらされない「半直火式」のものに分けられます。
直火式は直接火にさらされるため、炭火焙煎などで独特の香り付けを楽しむことができます。
少なくとも底面側は開口部になっているので、器具全体の過熱が起こりづらいという特徴もあります。
上部も網状のものは中の様子が見やすく、焙煎によって刻一刻と形状や色が変わっていくコーヒー豆の様子を楽しめます。
ただ、どうしても火の当たりにむらができがちで、均一な焙煎になりづらいようです。
アウトドアで、焚き火などの上で使用する場合、薪から望まない香りがうつってしまうこともあります。
密閉容器状のものが多い半直火式は、熱が均一に伝わりやすく、しっかりと攪拌さえできていればむらのない仕上がりを得やすいようです。
そのため、火の状態が多少不安定でも、一部だけ焦げたり生焼けになったりという失敗が起こりづらいといえます。
火が直接当たらないので、熱源からの匂い移りもあまり心配する必要がありません。
ただ、密閉式であるがために一度過熱状態になると内部の熱が逃げ難く、思った以上に焙煎が進んでしまう、ということも。
ふたにのぞき窓が開いていたり透明な素材のものもありますが、内部の変化を良く見ようと思うと直火式にはかなわないようです。
他に気をつける点として、直火式は周囲に薄皮などのかすが飛び散りやすく、半直火式はが多くなりがちなようですので、周囲を片付けておいたり換気扇を強くまわすなどして対策しておきましょう。

ストップウォッチ

好みの焙煎具合を次回以降も再現したり、うまくいかなかったときの検証を行うため、焙煎時には細かく時間をはかります。
秒針のついた普通の時計でも計れないことはありませんが、ストップウォッチがあると便利です。
携帯のアプリにあるようなものでもかまいませんが、もし購入するのであれば片手でも使いやすく、表示が大きくて丈夫なものにしましょう。
焙煎時は常に焙煎器を熱源の上で振り続けなければならないため、ボタンの位置などの関係で両手を使用しなければいけないものは使えません。
焙煎の進み具合を時間ごとに記録する場合は、持たなくても見えるくらい表示が大きいと便利です。
自分好みの焙煎ができるようになってからは、順調に進行しているかを計るために使用しますので、あまり簡単に壊れてしまうものより、愛着を持って長く使えるものを選びたいですね。

熱源

業務用の大きな焙煎機の場合、熱源は豆を入れるロータリーの下からバーナーであったり、吹き込まれる熱風であったりします(業務用焙煎機には、バーナーなどの火を使用しない熱風式、というものもあります)。
個人で手焙煎をする場合は基本的に下からあぶる形になるので、コンロや七輪などを使用することになります。
もっとも手軽なのはガスコンロで、室内で使用できる場合は十分な熱量も確保でき、安定した焙煎をすることができます。

ただし、屋外でカセットコンロを使用する場合は風の影響を非常に強く受けますので、無風に近い日を選ぶかしっかりとした囲いを用意する必要があります。
一方、七輪などで炭火をおこして熱源とする場合、どうしても温度にむらができてしまい安定した仕上がりを得づらくなりますが、よほどの強風でなければガスの炎に比べて風の影響を受けづらくなります。
また、炎の熱による「対流」のほか炭本体や熱された七輪からの「放射」が加わるためまんべんなく熱が伝わりやすく、ガスと違って燃焼時に水蒸気が発生しないため水分の抜け方に差が出るなどのメリットもあり、プロのロースターのなかにも炭火焙煎にこだわる人が少なくありません。
じっくりと極めていくのであれば、興味深い方式であるといえるでしょう。

ガストーチやアルコールランプなど、一点集中型の熱源は煎りむらが出やすく火の回らない生焼けのゾーンが発生してしまうので、専用の器具に付属しているもの以外は避けたほうがいいでしょう。
同じコンロでも電熱線コンロやIHは、鍋底がコンロに接していないと極端に熱量が落ちるかまったく発熱できなくなるので、空中でたえず焙煎器を振る必要のある手焙煎には使用できません。
家のコンロがこれらのタイプの場合は、屋外での焙煎を検討したほうがいいでしょう。

ざるとうちわ

焙煎が終了したあと、そのまま放っておくと余熱で必要以上に進行してしまうため、すぐにざるなどにあけてうちわであおいで冷ます必要があります。
ざるの素材は何でもいいのですが、まだ熱い状態の豆をあけること、浅めの焙煎の場合は水蒸気の抜けも重要であることなども考えると、竹などのざるが適切といえるでしょう。
うちわは扇げれば何でも良く、別にうちわでなければならない、というわけでもありませんが、最後の急冷は時間との勝負ですので扱いやすく丈夫なものを選びたいですね。

記録用のノート

一回一回をその時の気分や勘で焙煎する、一期一会のコーヒーも気軽で楽しいかもしれませんが、自分好みのコーヒーを追求するのであれば詳細な記録は欠かせません。
別に特別なものを用意する必要はなく、普通の大学ノートやメモ帳などで良いので、専用のノートを一冊作りましょう。
どの産地のどんな種類の豆を使用したか、焙煎前と焙煎後の重量、ハゼが起こるまでの時間、最初から最後まででどれくらい時間をかけたかなどに加え、その日の気温や湿度なども大切な情報になります。
実際に飲んでみた感想や、日をおうごとにどのように味や香りが変化したかも書いておくとあとあと役立つでしょう。
きれいに整理されているノートを作りたければ、一度メモにとってあとから清書してもいいですし、豆や産地ごとに分類したければルーズリーフが便利です。
手をかけるなら写真を撮って添付しておくのもいいかもしれません。
最初はちょっと面倒かもしれませんが、慣れてくると気にならなくなりますし、そうして貯まっていった自分だけの焙煎情報は、どんな専門書やインターネット上の情報などよりも参考になる、優秀な指標となってくれるでしょう。

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