世界各国のコーヒーの飲み方 アジア、オセアニア、ロシア編

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インド

灼熱の国土を持つインドでは、淹れたてのコーヒーを冷めないうちに提供して繊細な味や香りを楽しんでもらうよりも、飲みやすくして出す方がより良いサービスと思われるようです。
インドの露天やカフェでコーヒーを注文すると、たっぷりの砂糖とミルクを加えたコーヒーを大きめのカップに入れ、もう一つのカップとの間を何度も行ったりきたりさせることで温度を下げる様子を見せてもらうことができます。
時には曲芸的に感じるほどの十分な落差をつけて、幾度もカップからカップへと繰り返し注ぐことによって、高温と乾燥でからからになった口でも飲みやすいくらいに温度が下がり、さらにたっぷりの空気を含むことで口当たりがまろやかになるとされています。
他の国で同じことをしても、ぬるくて泡だったむやみに甘いコーヒーになるだけで、あまりおいしいとは感じられません。
ある意味、インドでしか飲むことのできない、貴重な味わいのコーヒーであるといえるのではないでしょうか。

ベトナム

ベトナムには、フランスの支配を受けていた当時の面影を残すカフェがあちこちに残っています。
そして、それらのカフェで提供されるベトナムならではのコーヒーといえば、カフェ・フィンで入れるベトナムコーヒーです。
製品によっては少量のコーヒーを抽出するのに10分以上もかかるカフェ・フィンで淹れた、少しどろっとしたマッディなコーヒーにコンデンスミルクを合わせたこの飲み物。
最初はちょっと驚くかもしれませんが、慣れると病みつきになるおいしさです。
「濃い目のコーヒーにミルクを加える」というフランス式の飲み方を、気温が高く流通の不便なベトナムで模倣した結果生まれたこの飲み方は、今ではベトナム独自の味として親しまれています。
また、近年ではこれをさらに発展させ、卵とコンデンスミルクと砂糖を混ぜ合わせて泡立てコーヒーに乗せる「エッグコーヒー」も、人気のメニューとなっているようです。
カスタードのようなクリームがコーヒーの苦味酸味をおさえ、ミルクセーキのコーヒー版のようなおいしさを楽しめます。
ただし、近代化が進むとはいえ真冬でも20度を下回ることのない国のこと。
生卵を使用したエッグコーヒーの注文は(お店の選定や健康状態の見極めも含めて)慎重に行いましょう。

マレーシア

マレーシアでは、コーヒー豆と一緒に砂糖や小麦などを焙煎することで、コーヒーに独特の香味をつける方式が一般的です。
そのうち、少量の砂糖とマーガリンだけを使用し、「相対的にはコーヒー豆だけに近い」ものを「ホワイトコーヒー」と呼びます。
この場合の「ホワイト」は、まっさらな、とか無添加の、という意味で、日本のブラックコーヒーに近いイメージのようです。
少量とはいえ、溶けて焦げた砂糖の香ばしさやマーガリンのコクが加わり、抽出したコーヒーそのものもやや白っぽい仕上がりになるとのこと。
さらに高級なものではコンデンスミルクやスパイスなどが使用され、複雑な味わいを楽しむことができるようです。
近年では、その風味を再現したインスタントコーヒーもいろいろと販売されており、地元のスーパーなどはもちろん、観光客向けのお土産品としても人気を博しています。

ロシア

あまりコーヒーが飲まれているような印象がないロシアですが、実はコーヒーの年間消費量は日本に次いで第5位(2014年)。
人口比で考えても、かなりメジャーな飲み物であることがわかります。
ロシア流の飲み方は、ドリップコーヒーにココアとミルクを加えたカフェモカのような形式がもっとも有名ですが、さらにここに卵黄やウォッカなどを加えることもあるとのこと。
ミルクやココアのコクとウォッカの刺激を卵黄が包み込む、かなり濃厚な飲み物になります。
ロシアの厳しい寒さの中では、単なるホットコーヒーくらいでは暖を取れないのかもしれませんね。
また、地域によっては砂糖だけを加えたコーヒーにスライスしたフルーツを乗せるところもあるそうです。

インドネシア

マンデリントラジャなど、日本でもおいしいコーヒーの有名な産地として認識されているインドネシア
コーヒーは現地でもよく飲まれており、年間消費量は世界第7位です。
その飲み方はちょっと独特で、大きなグラスに直接コーヒー粉とたっぷりの砂糖を入れ、お湯を注いでかき混ぜます。
しばらく待つと粉が沈んで来るので、上面に息を吹きかけて飲み口を確保しながら上澄みを飲みます。
コーヒーカップではなく大きめのグラスを使用するところがポイント。
一見するとかなり適当な淹れ方に思えますが、最初に砂糖も入れてしまうことと濾過しないことを除けば、実はフレンチプレスと同じ抽出方法で、コーヒーの旨みや酸味を楽しむのには適した方式だと言えます。
お湯が熱いうちは粉がジャンピングをおこしてぐるぐる対流するので、5分から時には10分以上のんびりと待たねばなりません。
みんなでおしゃべりをしたり本を読んだり、あるいはぼーっとしながらコーヒーの出来上がりを待つこの時間は、まさにインドネシアらしいのんびりとした雰囲気を味わわせてくれます。

台湾

中国と同じくお茶のイメージの強い台湾ですが、実は数十年前から親しまれ続けているコーヒーの飲み方があります。
それは、「コーヒーと紅茶を一定の割合で混ぜ合わせる」というもの。
ちょっと聞いただけではとてもおいしそうには感じられませんし、実際適当に作ると大変おいしくないのですが、淹れ方や混合比によっては絶妙なおいしさを引き出すことができるそうです。
その作り方はお店や人によって様々で、別々に抽出してから混ぜ合わせる方式の他、茶葉とコーヒー粉を合わせてドリッパーにかける方式や、一方の抽出液でもう片方を抽出する方式などが代表的とされています。
台湾ではホット、アイス、コンデンスミルク入りやスパイス入りなど、いろいろなバリエーションで老若男女に楽しまれているというこのメニュー。
自分なりの適正な混合比を見つけられるか、一度チャレンジしてみてはいかがでしょうか。

日本

普段から見慣れているためあまり特殊だと感じることは無いと思いますが、実は日本でのコーヒーの飲まれ方も、世界的に見れば独特の部分がいくつもあります。
例えば喫茶店や家庭などで普通に行われている「一杯ずつハンドドリップで提供する」という方式。
コーヒー豆の種類や好みによって挽き方を変えたり、最初に蒸らしてから慎重にお湯を注ぐなどの細かい決まりごとをみんなが当然のように守って淹れている、というのは実は最近まで日本以外では一般的ではありませんでした。
ただ、今世紀に入ってからのサードウェーブの広まりや、スペシャルティコーヒーなど産地と品種ごとに味わいの違いを楽しむ風潮から、専門店を中心に少しずつ「日本式」が浸透しつつあるようです。
また、ウィンナコーヒーアメリカンなど、各国のコーヒーの飲み方の特徴を誇張・改変し、国や都市の名前をつけて普及させてしまうというのも、特に昭和時代の、日本におけるコーヒー拡大期によく見られた特徴といえます。

それらの品質や特徴の追求とは逆の路線としては、缶コーヒーなどのコーヒー飲料が上げられるでしょう。
もはや完全に本来のコーヒーとは別の飲み物としての進化を遂げたそれらコーヒー系飲料は年間約871万klも製造・販売されており、忙しいビジネスマンから手軽さを求める学生、年配層に至るまで、あらゆる人々に利用されています。
ホットで淹れたコーヒーを氷などで積極的に冷やして飲む「アイスコーヒー」と同様、まだまだ他の国では奇異な目で見られがちな日本のコーヒー飲料ですが、その独特のおいしさや気軽に楽しめる利便性から、海外でもじわじわと勢力範囲を広げつつあるとのこと。
他の文化と同じように、「日本式のコーヒー」が注目を集めるようになる日も遠くないかもしれません。

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