世界各国のコーヒーの飲み方 中東、アフリカ、ヨーロッパ編

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中東諸国

コーヒーがヨーロッパ諸国で広く飲まれるようになり、煮出した液体から効率よく滓を取り除くためにネルの原型が発明されるまで、コーヒーは基本的に鍋で煮て上澄みを飲むものでした。
現在ではあらゆるコーヒー抽出用の器具が使用されていますが、中東諸国ではいまもイブリックという片手鍋を使用した伝統的な方式が残っています。
細挽きをお湯で煮出して抽出するイブリックは、一人用のとても小さなものから大家族で使用するまさに鍋のようなものまで様々なサイズのものがあります。
材質は伝統的には銅や真鍮が多いのですが、オフィシャルな場で使うような銀製で緻密な細工が施されたものや、手入れが簡単で丈夫なステンレス製、アルミ製などもあるようです。
慣れないうちは滓の多いどろどろした液体に戸惑うかもしれませんが、しばらく飲んでいるときれいに濾過されたコーヒーでは物足りなくなってくること請け合いです。
また、飲んだ後の粉は残り方や流れ方から占いにも使用されているようです。

イタリア

今では世界各国で飲まれるようになったエスプレッソ
20世紀初頭に発明された際に、少量のコーヒーを小さなカップで飲む習慣のあったイタリアで広く受け入れられ、発展してきました。
イタリア国内では、カフェといえばドリッパープレスで抽出したものではなくエスプレッソを指し、イタリア人は「自分たちの飲み物」としてエスプレッソの楽しみ方に誇りとこだわりを持っているといわれています。
例えば、日本では時間帯に関係なく飲まれているカプチーノですが、イタリアでは朝食時以外に飲まれることはありません。
エスプレッソには基本的に砂糖を入れるものとされていますが、その分量やどれくらいかき混ぜるか、残った砂糖をどう楽しむかも人によって意見が分かれます。
彼らにとってカフェとは嗜むものであり、自分なりの確立した楽しみ方を持つべきものなのです。

エチオピア

アラビカ種コーヒー発祥の地であるエチオピアでは、コーヒーそのものはもちろん、コーヒーノキの葉を使用したお茶を日常的に飲んでいます。
人工的に栽培されたものではなく、森の中に自然に生えているコーヒーの葉を枝ごとひと房とってきて、火にかざしてよく乾燥・焙煎し、専用のポットでよく煮出してスパイスなどを加えてお茶にするのです。
近年では、このコーヒーの葉の成分が健康にもよいということで、他の国や地域でも模倣するようになってきているそうです。
また、お客さんをもてなす際にはコーヒー豆を使用したセレモニー、カリオモンを行うこともあります。
これは、生豆を煎るところからはじめるゆったりとしたティーセレモニーで、しかも2杯から3杯淹れて飲むため2時間以上かかることもあるそうです。
お香を焚いた部屋に皆で集まり、お菓子を食べたり煎りあがった豆の香りをかがせてもらったりしながらコーヒーがはいるのを待つそのお茶会は、ある種、日本のお茶席にも通じるものがあるかもしれません。

フランス

フランス式の飲み方と言えば、まず思い浮かぶのがドリップコーヒーにたっぷりのホットミルク(もしくはスチームドミルク)を加えた「カフェオレ」ですね。
実際、朝食にはカフェオレが定番、という人がいまでも多く、都市部のホテルに泊まった朝は、カフェオレボウルで提供されるカフェオレでゆっくりと目を覚ます、という憧れのシチュエーションも体験することができるようです。
ただ、近年では安価なエスプレッソマシンの普及に伴い、街中でもドリップコーヒーよりエスプレッソを提供する店が増えてきているとのこと。
特に、食事の後はイタリア式にエスプレッソに多めの砂糖を加えて、という飲み方が一般的になってきており、コーヒーのつもりで「カフェ」と頼むと「エスプレッソ?コーヒー?」と確認されることも。
トラブルを防ぐためには、きかれない場合でもどちらを注文したいのか伝えた方がよいといえますが、こってりとした食事の後の濃厚なエスプレッソは想像以上においしく、病み付きになるという人も多いようなので、一度は試してみても良いかもしれません。

オーストリア

ドリップコーヒーにホイップクリームを乗せる「ウィンナコーヒー」は、一時期日本の喫茶店メニューとして流行ったものの、スパゲッティナポリタンのように本国には存在しない飲み方であるという指摘に押されて、いまではあまり見かけなくなってしまいました。
実際、ドリップコーヒーに生クリーム、という取り合わせは無かったようですが、カプチーノの泡のかわりにホイップクリームを乗せる、という飲み方は昔からされており、近年ではエスプレッソをドリップコーヒーに置き換えた方式も普及してきているとのこと。
ただし、名前はウィンナコーヒーではなく、アインシュペンナーといいます。
砂糖無しなら口当たりまろやかな大人の味わいに。
生クリームに砂糖を多めに加えて乗せればデザート風にもなり、どちらの場合もクリームが時間の経過とともにゆっくりと溶け出してきてコーヒーと混ざり、その変化も楽しめます。
正式な飲み方ではないから、などと肩肘を張らず、時にはのんびりとした気持ちでホイップクリームが溶けていくのを眺めているのも良いかもしれませんよ。

モロッコ

アフリカ西部の海岸沿いに位置するモロッコは、人口の95%以上がイスラム教徒であり、伝統的にコーヒーが良く飲まれています。
モロッコ特有の飲み方としては、黒胡椒やナツメグなどのスパイスをコーヒー豆と一緒に挽いて抽出するスパイスコーヒーが有名です。
使用されるスパイスは他にシナモンやカルダモン、しょうがなど多岐にわたり、挽く際ではなく焙煎の仕上げに投入したりそのままカップに直接浮かべたりとバリエーションも豊か。
通常のコーヒーの味わいとは一線を画す、エキゾチックな味わいが楽しめます。

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