コーヒーの起源とさまざまな諸説
コーヒーの「飲み物」としての起源はいくつかの説があり、正確なところはわかっていません。
一説によれば、15世紀の聖者がエチオピアを旅しているときにその効能を知り、祖国に持ちかえって薬や眠気覚ましとして広めたとされています。
また別の説によると、9世紀頃にカルディ君という山羊飼いの少年が、赤い小さな実を食べた山羊が興奮して飛び跳ねるのを発見し、彼から相談を受けた修道士がその種を眠気覚ましとして広めた、となっています。
ただ、もともとはエチオピアで食用として利用されており、それがアラビア半島へ伝わり修道士たちの眠気覚ましとして広まったというのは間違いないようです。
はじめは薬のような飲み物だった?!その後の発見により人気嗜好品に!
現代と同じようにカフェインなどによる覚醒作用で重宝されて飲まれ始めたコーヒーですが、この時点ではまだほぼ生のまま煮られており、いい香りも味もない薬のような飲み物でした。
やがて15世紀前後に「炒ってから煮ると味も香りも良くなる」という発見があり、嗜好品として飲まれ始めたコーヒーはイスラム教徒の間で人気の飲み物となっていきます。
あまりに急激に広まったためか、16世紀初頭にはイスラム教の教義的な観点からコーヒー引用の是非を巡る議論が過熱し、コーヒー豆の焼き払いや飲んだ者への刑罰、コーヒーを提供しているお店の襲撃などの事件も起こったそうです。
1517年には、オスマン帝国のセリム一世がエジプト遠征の際にコーヒーを持ち帰りこれが帝国内で流行。
1554年には、首都コンスタンティノープルで世界初のコーヒーハウスが誕生します。
この後オスマン帝国内では、コーヒーの流行に合わせてコーヒーハウスも凄い勢いで増えていき、その軒数は300軒だったとも600軒だったとも言われていますが、その客層はあまり良くありませんでした。
犯罪の温床になっている、あるいは政治犯の会合に使われているという疑いからたびたび非難や議論の的となっていたようです。
ちなみにこの頃のコーヒーは、焙煎して破砕した豆を鍋などで煮、砂糖やミルクなどは入れずに飲まれていました。
味付けをされる場合は、カルダモンなどのスパイスが使用されていたということですので、現代における紅茶のような味わい方だったのかもしれません。
イスラム教圏からキリスト教圏へ。広まるコーヒーの魅力
時には弾圧されながらも勢いを衰えさせずに広がっていったコーヒーは、やがて帝国に訪れるヨーロッパの商人たちの目にとまり、各国へと持ち帰られました。
イスラム教の世界で普及していた飲み物が、今度はキリスト教圏へと広がり始めるのです。