マイルド
味や香りが穏やかであること。
コーヒーにおいては、苦味や酸味があまり強くなく刺激の少ないものを指す。
ブラジルやコロンビアのコーヒーがこの特徴を持っており、日本ではじめて大々的に飲まれるようになったコーヒーがブラジルのものだったことから、日本人好みの味わいとしても知られている。
対義語は「ストロング」。
マキアート
エスプレッソドリンクの一種。
エスプレッソの上にスプーン1,2杯のミルクフォームを乗せるのが本来のレシピだが、近年ではその国や好みによってミルクを加えたりシロップを加えるレシピも多い。
マキネッタ
コーヒーを入れるための器具の一種で、下部のボイラーで沸かしたお湯の蒸気圧を利用して、下から上へ向かってコーヒーを抽出する構造を持つ。
ボイラーに水をいれてフィルターに挽いたコーヒー粉をセット、直火にかけてしばらくおくとボイラー内の圧力が上がり、沸いたお湯が粉の中を通って上部に吹き上がってくる。
沸騰直前のかなり高温のお湯を使用するため、濃い目で苦味の強いコーヒーに仕上がる。
その濃度やコーヒーの粉を軽く固める工程から、エスプレッソの抽出器と誤解されているケースも多く見られるが、あくまでコーヒーの抽出器である。
その独特の形状はインテリアとしても人気があり、サイフォンやフレンチプレスなどと同様におしゃれなキッチンを演出する小道具としても人気を集めている。
マラゴジペ(マラゴジッペ)
ニカラグア原産の品種の一つ。
突然変異で生まれたとされ、コーヒーチェリーや生豆の状態でそれとわかるほど大きなサイズが特徴。
そのため、様々な品種が交じり合って存在し、ほとんど品種ごとの分類をせずに処理されるニカラグアのコーヒー豆のうち、ほぼ唯一品種を特定した状態で商品化される。
やや大味ではあるものの香味に優れ、比較的病害に強いため他の国や地域でも栽培が始まっている。
また、マラゴジペと他品種の交配種も現れ始めており、中には近年香り高い高級コーヒーとして人気の出始めている「ゲイシャ」を思わせる香りや、キャラメルなどの豊かな甘みを持つものもあり、交配元の品種としての可能性も注目されている。
マンデリン
インドネシアのスマトラ島で栽培されているコーヒー豆。
日本でも流通量が多く、あまりコーヒーについて詳しくない人でも名前を知っている品種の一つといえる。
東南アジアのコーヒーらしいどっしりとした苦味が特徴で、単体でもファンが多いほか、ブレンドの軸として使用されることも多い。
未熟豆
生豆に混じる欠点豆の一種。
収穫時点で完全に熟しきっていなかった種子をさす。
熟していない果物と同じく渋みや不快な酸味を多く含んでおり、そのままコーヒーにしてしまうと少量でも味や香りを損なうため、焙煎に前後してハンドピックで取り除く必要がある。
見分ける特徴としては、明らかにサイズや形状がおかしい、焙煎しても色が白っぽいまま、などがあげられる。
水出しコーヒー器(ウォータードリッパー)
コーヒーを入れるための器具の一種で、常温や冷温の水をゆっくりと通すことでアイスコーヒー を抽出する。
雑味や不快な苦味の成分は高温で抽出されるものが多いため、比較的さっぱりとしたクリアな味わいに仕上がる。
コーヒー粉の上から点滴のように水を落として抽出するタイプと、不織布などのパックにいれた粉を水に沈めておくタイプがあり、前者は演出性が高く、大型のものがコーヒー専門店のカウンターなどに設置されていることもある。
後者は冷蔵庫にそのまま入れられる麦茶ポットのようなものが主流で、気取らず手軽にアイスコーヒーを淹れるのに向いているといえる。
どちらの方式でも抽出開始から完成まで数時間はかかるため、お湯を使用した通常のドリップのように飲みたいと思ったときにすぐ淹れられるようなものではないが、その時間がかえってゆったりとしたコーヒーブレイクを演出してくれるとも言えるだろう。
ミディアムロースト
焙煎度合いの一つ。
浅い方から三番目に該当し、いわゆる一般的な「浅煎り」である。
うまく焙煎されていれば生豆独特のにおいは消えているが、まだ苦味はほとんどなく、フルーツのようなフレッシュな酸味と繊細な香りが際立つコーヒーになる。
中煎り以降に比べて火にかけておける時間が短いため、中心部が生焼けになる「芯残り」のリスクが高く、ロースターの腕が試される焙煎度といえる。
ミネラルウォーター
イオンが一定の割合で含まれる水。
イオン量が多いと硬水、少ないと軟水と呼ばれる。
コーヒーを淹れる際にわざわざミネラルウォーターを使用する必要はないが、もし使用する場合は硬水は味や香りの抽出が控えめに、逆に軟水では通常よりしっかりとした抽出になることを踏まえて豆の特徴や自分の好みに合った水を選ぶ必要がある。
ミュシレージ
コーヒーチェリーを構成する要素のひとつで、ペクチンを主成分とする粘液質。
外皮と果肉を取り除いた内側、パーチメント(内果皮)とシルバースキンの外側に該当する。
ウォッシュトの工程では、果肉を取り除いた種子を数日水につけて発酵させる事でこのミュシレージを取り除く。
逆にパルプトナチュラルでは取り除かずにそのまま天日干しする工程を経る。
ミル
焙煎したコーヒー豆を挽いて粉にするための器具。
電動式のものと手動式のものがあり、歯の形状や豆を挽く方式によって分類される。
処理能力やスピード以外にも、コーヒー豆に余計な熱が加わらないか、均一な挽き目になるかといったポイントで評価され、「できるだけはやく大量に均一な挽き目で、余計な熱を加えずに挽ける」ものほど評価が高い。
そのなかでも、挽き目の均一さは雑味の少なさにダイレクトに影響を及ぼすため、特に粒度がばらつきがちな家庭用の小型ミルを選ぶ際の重要な指針といえる。
代表的な歯の形状として「ブレード式(プロペラ式)」「臼歯(コニカル)式」「ロール式」「カット式」などがあり、それぞれ長所、短所や得意な挽き目に特徴がある。
ブレード式は熱が発生しやすい上挽き目が不均一で、雑味の元となる微粉も発生しやすいが、小型で安価なものが多い。
臼歯(コニカル)式は若干の微粉が発生し、手動の場合は意外と力が要るものが多いが、挽き目は安定していて細挽き~極細挽きにも対応できるものが多い。
ロール式は期待が大きくなりがちで動力もしっかりしたパワーを出せるものが必要になるため家庭用というより業務用だが、熱をあまり発生させずに素早く大量に処理するのに向いている。
カット式はあまり細かい挽き目を設定できず価格も高価になりがちだが、微粉の発生しない均一な挽き目の粉を得ることができる。
ミルク
動物、特に牛の乳。
コーヒーに使用される場合は温度も状態も様々で、特に泡立てたものをエスプレッソに加える場合は、分量や泡状のものと液状のものの比率などでも名称が変わる。
苦味や酸味を和らげる効果があり、普段コーヒーを飲みなれていない人や子供でも、ミルクを加えれば飲めるという人も多い。
近年では、脂肪分を調整したローファット、ノーファット、脂肪と水分を抜いて粉末状にすることで独特の風味のあるスキムミルクなど、低脂肪のものやソイミルク(豆乳)も人気を博している。
なお、コーヒー用クリームにもミルクという名称がついていることがあるが、ほとんどの場合植物油を乳化させて香料などを混ぜたもので、牛乳が使用されていることは稀である。
ミルクピッチャー
ミルクをカップなどへ注ぐための容器。
やや大振りで取っ手と注ぎ口がついているものが多い。
エスプレッソマシンでミルクを泡立てるときにも使用し、専用のものは金属製で効率よく綺麗な泡が立つように設計されている。
ミルクフォーム
スチームなどで泡立てたミルク。
特に「フォームドミルク」と「ミルクフォーム」でわけて記載されている場合、前者はまだ液状の部分、後者は泡状の部分を指すことが多い。
これは、エスプレッソドリンクなどでは泡立てたミルクの液状部分と泡状部分をそれぞれどれくらい入れるかで名称が変わり、厳密な表記が必要なためである。
虫食い豆
欠点豆の一種。
成長途中、生産中、もしくは流通中に虫食いが発生した豆。
虫が残っていることはあまり無いが、虫食い部分にカビが発生していることがあるため、ハンドピックで取り除く。
品種にもよるが、他の欠点豆に比べると見かけることは多くはない。
蒸らし
お湯を注いだ後すぐに濾過を開始せず、一定時間そのまま置いておくこと。
コーヒー粉がお湯を吸い込むには(挽き目によって差はあるが)時間がかかり、コーヒーらしい苦味や香りの成分はすぐにお湯に溶け出してこないため、一定時間お湯に浸った状態にしなければならない。
特にドリッパーの場合は抽出と同時に濾過も進んでしまうため、お湯の注ぎ方や量を調整することでフィルター内でしっかり蒸らしが進むようにする技術が必要になる。
メリタ
コーヒー器具メーカーのひとつ。
ペーパーフィルターを使用する三角ドリッパーを発明したメリタ夫人が設立した会社で、100年以上の歴史を持つ。
「蒸らした後、お湯を一度に注いで、後はドリッパーに全部任せる」という独特の使用法を推奨することで有名。
モカ
エチオピア産、イエメン産のコーヒー豆のブランド。
かつて現イエメンに存在した、コーヒー輸出で発展した「モカ港」に由来して名づけられた。
モカ港は世界で始めて商業的にコーヒー豆が出荷された港であり、中世のコーヒー産業の要の一つであった。
また、ここからコーヒーの種や苗木が各国へ持ち出され、世界中でコーヒー栽培が行われるようなったことから、世界のコーヒーノキの故郷として語られることも多い。
イエメンが気候的・環境的にあまりコーヒーノキの大規模栽培に適した土地ではなかったため、ヨーロッパ諸国で需要が急増した16~17世紀ころにはイエメン産のコーヒー豆だけでは供給が足らず、海を挟んだエチオピアで栽培されたコーヒーもモカ港から出荷されていたため、現在でもイエメンとエチオピアの複数の土地のコーヒーがモカと呼ばれている。
混同を避けるため、生産地の名を取って「モカ・マタリ(イエメン産)」「モカ・ハラル(エチオピア産)」などと称されることも多い。
日本では、ヒット曲「コーヒールンバ」(1961年)の中で登場することから、モカ・マタリの知名度が最も高いとされる。
イエメン産のコーヒーは、発酵豆や欠損豆、豆のかけらなどが大量に混入した状態で流通していることが知られており、マタリの最上級ランク「No.9」でさえ一見してそれとわかるほどの欠点豆が混ざっている。
ピッキングに手間がかかったり歩留まりが悪い(欠点豆を取り除いた後の正味量が少ない)ため、ロースター泣かせと言われることもある。
しかし、実際にはこれらの欠点豆が絶妙なバランスを形成することで「モカ香」と呼ばれる独特の香味を醸し出しているため、あまり神経質にハンドピックを行わないほうが良いとされる。
モンスーン
インドで生産されている、コーヒー豆のブランドの一つ。
本来は「モンスーン・プロセス」という、処理方法で生産されたコーヒー豆を指す。
帆船での貿易が主流だった時代、インドからヨーロッパへ渡る数ヶ月の航海の間中潮風にさらされ続けたコーヒー豆は薄緑から黄金色に変化し、独特の香味を獲得することがあった。
この豆は新航路や蒸気船の登場で輸送期間が短縮されると姿を消すが、イギリス国内などの愛好家からの要請を受けて同様の変化を促す処理法方「モンスーン・プロセス」が開発される。
このプロセスでは、ドライ方式で脱殻された生豆を麻袋につめ、風通しの良いところで数ヶ月間季節風に当て続けることで帆船輸送時の状況を再現。
この処理方法を経た豆はかつてと同じように黄金色に変化しており、プロセスの名を取って「モンスーン」のブランド名で販売される。