コーヒー用語集 あ行

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アイスコーヒー

フィルターコーヒーを冷やした飲み物。
お湯で淹れて冷やす方法と水で淹れる方法があり、同じ豆を使用しても抽出される成分に違いが出る。
ホットコーヒーとして淹れたものを冷やす場合は、たっぷりの氷に直接ドリップするなどして急冷しないと、紅茶と同じく白濁するので注意が必要。
水抽出の場合は最初から低温なので抽出後の扱いは簡単だが、飲めるようになるまで数時間かかる。
水から淹れたアイスコーヒーは温めてホットとして飲んでもおいしい。

アイリッシュコーヒー

フィルターコーヒーを使用したカクテルの一つで、ホットコーヒーにアイリッシュウイスキーを加えたもの。
ホイップクリームをトッピングるするレシピが一般的。
使用するウイスキーの産地やトッピングの有無で名称が変わる。

浅煎り

平均より浅い焙煎度合いのことで、一般的には「ライトロースト」「シナモンロースト」「ミディアムロースト」を指す。
特に説明がなく浅煎りと言う場合は、ミディアムローストであることが多いとされる。
かなり強い酸味とフレッシュな香りを楽しむことができる。
1ハゼの前後という早い段階で焙煎を止めるため、中心部まで火が通りきらない「生焼け」の危険性が大きく、比較的温度の調整などが難しい。
そのため、特にセカンドウェーブ以降は軽視される風潮があったが、今世紀に入ってからはコーヒー豆そのものの味わいや香りを個性として区別し楽しむといういわゆるサードウェーブの流れもあり、次第に見直されるようになってきた。

麻袋

コーヒー豆が流通する際に入れられる袋。
生産地や流通経路の情報が記載されているほか、生産地や農園をイメージした絵やマークなどが印刷されているものもある。
もともとは直にコーヒー豆を入れていたが、近年は品質保持の観点からビニールやプラスチック製の内袋が入っている場合もある。
一般的な容量は60kg~70kgで、スペシャルティコーヒーや一部の高価な豆に使用するものだと少量ロット用の小さなものもある。

アフォガード

エスプレッソを使用したレシピの一つ。
アイスクリームに抽出したばかりのエスプレッソをかけて溶けてきたところを食べる。
「エスプレッソ系ドリンク」に分類されるが、特に日本ではデザートとして扱われることが多い。
基本はバニラアイスだが、抹茶アイスやラズベリーなどベリー系の甘酸っぱいアイスクリームにもあう。

甘み

糖分などを摂った際に感じる味覚。
コーヒーを飲んだ際に感じる甘みはごく微量のもので、他の成分による作用で相対的に感じるケースが多い。
バランスの取れたコーヒーのなかには、果物やナッツにたとえられる甘みを持つものもある。

アメリカーノ

エスプレッソを使用するドリンクの一種で、エスプレッソをお湯で割ったもの。
第二次世界大戦中に、ヨーロッパに遠征したアメリカ軍の兵士たちが、エスプレッソの濃さに馴染めずお湯で割ったことがはじまりとされる。
かなり湯の量を多くしても、フィルターコーヒーのブラックより苦味の強いストロングな味わいが楽しめる。

アメリカン

フィルターコーヒーを使用するドリンクの一種で、コーヒーをお湯で割ったもの。
エスプレッソをお湯で割る「アメリカーノ」が日本に伝わった際に誤って広まってしまったという説や、開拓時代に飲まれていたパーコレーターを使用した薄めのコーヒーをドリップで再現しようとしたという説など、起源については諸説ある。
戦後からセカンドウェーブまで、日本の喫茶店におけるスタンダードメニューの一つで、一定以上の年齢層の人にとっては思い出の味とも言える。
ドリップの後半に増えがちな雑味を排除するために、早めに切り上げた濃い目のドリップコーヒーをお湯で割るという飲み方が一般的な地域もあり、これも広義ではアメリカンに類するといえるだろう。

アメリカンロースト

「ミディアムロースト」の別名。
ファーストウェーブの時代、アメリカで好まれた焙煎度合いが比較的浅煎りであったためこう呼ばれるようになった。

アラビカ種

コーヒーノキの種別の一つ。
世界中で栽培されているコーヒーノキのうち7割以上を占めるもっともメジャーな種である。
種から苗木を育てる形で栽培され、世界中で200種以上(野生種や未分類を含めるとさらにたくさん)の品種がある。
一般的にもう一つの代表種であるカネフォラ種ロブスタ種)よりも上質とされ、高級豆に分類される品種も多い。

粗挽き

コーヒー豆挽き目(粒度)の一種。
指でつまみ上げて揉むと、粒ごとのごろごろとした感触が分かるくらいの粒度とされるが、正式なメッシュなどは決まっていない。
粒が大きい分お湯の浸透、成分の抽出に時間がかかり、お湯の通過も速くなる。
そのためフレンチプレスサイフォンなど粉全体をお湯に浸してじっくり抽出できる方式に適している。
また、ドリッパーで淹れるとお湯がどんどん落ちていってしまうため、全体に味や香りの多くないさっぱりした味わいになることが多い。
微粉が混ざることで嫌な苦味や雑味が出ることが多いため、使用するミルの種類にもよるが専用のふるいなどを使用してメッシュを揃えたほうが良いケースもある。

イエメン

アラビア半島に位置する共和制国家。
15世紀に世界で始めてコーヒー豆を使用したビジネスが始まった土地でもある。
エチオピアに自生していたコーヒーノキのうち数本がイエメンで栽培され、それが植物体の特徴などによって「ブルボン系」と「ティピカ系」に分類、そこから世界各国へ苗木が渡って栽培されるようになったため、現在世界中で栽培されているアラビカ種のコーヒーノキのうち、エアルーム(原種)系以外のものはほぼすべてブルボン系ティピカ系のどちらかに属している。
もともとあまりコーヒー栽培に適した土地ではないため、生産量は他の生産国に比べると少なくなっているが、「コーヒーの貴婦人」と讃えられるモカ・マタリなど、他とはまったく違う独特の香味を持つコーヒーを今も栽培し続けている。

イスラム教

コーランを経典とし、アッラーを唯一神とする宗教。
エチオピアに自生していたコーヒーノキの種子をイスラム教の修道士が眠気覚ましとして利用し始めたことで、コーヒー飲用の歴史が始まったとされる。
現在でも、アルコール飲料などの禁止を始めとする厳しい戒律を守るイスラム教徒にとっても、コーヒーは安心して飲める許可された飲み物として親しまれている。

イタリアンロースト

焙煎度合いの一種。
もっとも深い焙煎度合いで、炭のような真っ黒な見た目に多量のが浮き出してつやつやしている。
熱で消失しやすい酸味や香りは残っておらず、強烈な苦味と深いコクを楽しむことができる。
そのため、ドリップしてそのまま飲むというより、アイスコーヒーやエスプレッソなどに使用されることが多い。

イブリック

コーヒーを淹れる器具の一種で、生豆を煎り、そこへお湯を注いでコーヒーを煮出す鍋。
ドリッパーなど別の器具が現れるまで、コーヒーは鍋で煮出すのが一般的な淹れ方で、現在でもイスラム教圏の国ではイブリックが使用されていることが多い。
正式な作法やマナーも確立しており、公的な席でのセレモニーにも使用されることがある。

炒り止め

コーヒーを焙煎する際、火からおろした直後に急冷すること。
焙煎された直後のコーヒー豆は、それ自体が数百度の高い熱を持っているため、放っておくと自身の熱で焙煎が進んでしまう。
そのため狙った通りの焙煎度合いにするためには、すぐにざるなどにあけて風を送ることで温度を下げ、焙煎の進行を止めなければならない。
通常はうちわなどを使用して手動で行うが、量が多い場合は扇風機を使用しても良い。
水滴がつくのを防ぐため、金属のバットや網、氷などは使用しないほうが良いとされている。

炒りむら

一緒に焙煎したコーヒー豆の中で、それぞれの焙煎度合いがずれてしまうこと。
一つの豆の中でむらができるパターンと、豆同士の間でむらができるパターンがある。
熱の加わり方や当たる位置が不均一になることが原因で、炒りむらがあると味や香りが安定しないコーヒーになってしまう。
焙煎時に絶えず豆の位置が変わるように攪拌し続けること、熱源との距離を一定に保つこと、焙煎器を半直火式にすることなどで防ぐことができる。

インスタントコーヒー

コーヒー抽出液を乾燥させるなどして粉状にしたもの。
20世紀初頭にアメリカ在住の日本人・加藤サトリ博士によって発明され、第二次世界大戦中に兵士が使用していたことで世界中に広まった。
当時は味や香りが通常のコーヒーに比べてとても劣っていたが、その後の改良によって現在では廉価なドリップコーヒーと遜色がないほどになっている。
原料としては、全世界で生産されるコーヒー豆のうち品質などが劣る「コマーシャルコーヒー」が使用されることが多く、ロブスタ種の割合が高いとされる。

ウィンナーコーヒー

ホットコーヒーを使用したドリンクの一種で、ホットコーヒーにホイップクリームを乗せたもの。
ウィーンではフィルターコーヒーにクリームをあわせる飲み方はなく、カプチーノに乗せるミルクフォームの代わりにホイップクリームを使用する方式が誤って伝わったのではないかと推測される。
日本の喫茶店での代表的なメニューだったが、近年ではアメリカンと同様あまり見られなくなってきている。

臼歯式ミル

コニカル式ともいう。
その名の通り、臼のような構造を持った歯を持つミルで、可動歯と固定歯でコーヒー豆を挽き割るようにして細かくする。
すり鉢で粉砕するものを除けば、歴史上最も古い機構のミルといえる。
電動式から手動式、業務用から一般用まで幅広く利用されている。
微粉が比較的出づらく粒度も揃えやすいが、手動式の場合は意外と力が要る、あまり短時間で一気に挽くと摩擦で熱が発生してしまう恐れがある、などのデメリットもある。

ウェットプロセス

コーヒーチェリーを生豆にするための方法のうち、ドライ(ナチュラル)以外のものを指す。
ドライプロセスよりもきれいな味わいになりやすいため、より高品質とされるケースが一般的だったが、近年の個性重視の風潮によって一概にそうとも言えなくなりつつある。

ウォッシュトプロセス

ウェットプロセスのうち、乾燥前にミュシレージを取り除く工程をもつ方式。
果肉を取り除いたあと、数日間水に浸けることで発酵を促し、分解作用を利用してミュシレージを排除する。
大量の水が必要になるため水源に近い処理場でなければ採用できないが、他の方式に比べて良質な仕上がりになるため高級品種に適しているとされている。

エアルーム系

エチオピアで発見された、自然交配によって生まれた品種の総称。
エチオピアの原生林では、現在でもランダムな交配が起こっており、様々な特徴を持った品種が生まれ続けている。
耐病性や耐候性、際立った香味などの好ましい特徴があると認められた品種が各国の研究機関に持ち帰られ、特徴を固定した栽培に成功したものが各農園に植えられることになる。
名称はその品種が発見された地名から取られることが多い。

エアロプレス

コーヒーを淹れる器具の一種で、空気圧を利用して抽出するプレス式ドリッパー。
半透明の、ちょうど注射器のような形をしており、お湯を注いで一定時間待った後、手動で圧力をかけてコーヒー液を落とす。
抽出の方式としてはフレンチプレスに近いが、ペーパーフィルターを使用して濾過をするため、透明度が高く微粉の混ざらない、すっきりとした味わいのコーヒーを得ることができる。
圧力を利用して抽出するため、エスプレッソを淹れる器具だと誤解されていることもあるが、コーヒーのドリッパーである(やや濃い目にはなる)
メーカーが推奨する「カップ上に正立させて粉とお湯を注ぎ、すぐさま圧をかける」方式のほか、「テーブル上で倒立させて粉とお湯を注ぎ、抽出に時間を取ってからカップに正立させて圧をかける」方式があり、現在のところは後者の方が支持されているらしい。

エスプレッソ

細挽きにし押し固めた粉に、高圧のお湯を通すことで得られる高濃度のコーヒーエキス。
ヨーロッパで発生した近代革命の頃に誕生し、イタリアを中心に発展した。
現代では主に機械式の「エスプレッソマシン」を利用して淹れられる。
かなり強烈な苦味や酸味が特徴で、そのままでも飲まれるがスチームミルクやフォームドミルク、各種シロップなどを加えたエスプレッソドリンクとして飲まれることが多い。
これらは近年、特に「シアトル系」と呼ばれるスタンド式のチェーンコーヒーショップによって全世界に急速に広まり、その波はコーヒー界のセカンドウェーブと呼ばれている。

エスプレッソマシン

コーヒーを淹れる器具の一種で、圧縮したコーヒー粉と高圧のお湯を利用してエスプレッソを淹れるための機械。
ボイラーやコンプレッサを内蔵した機械式のものがほとんどだが、手動ポンプで空気入れのように圧を高めて淹れる手動式のものもある。
コーヒーメーカーとは違って工程のほとんどが手動のものが多く、粉の挽き方や量、固め方、抽出にかける時間と圧力など様々な条件を微調整できるため、機械式とはいえ納得のいくエスプレッソを淹れられるようになるまでには熟練を要することが多い。
近年は家庭用の小型で安価な製品も多く見られるようになったが、大型で高価な業務用に比べるとやはり味や性能が見劣りするらしい。

エチオピア

東アフリカに位置する連邦共和国。
コーヒー、特にアラビカ種の発祥の地とされている。
現在でもコーヒーの栽培が盛んで、総人口約9000万人のうち、1500万人以上がコーヒーに関する職業に従事しているとされる。
ただ、大規模な農園や機械化された処理施設は少なく、ほとんどが小規模な生産農家とのこと。
主な栽培品種は、アラビカ種のうちエアルーム系の各品種とされているが、品種管理や受粉操作などもあまり行われていないため、「品種不明」なコーヒーノキも少なくない。
そのため、地域や生産者だけでなく生産年度や時期によっても味わいが変わることも珍しくなく、良質な製品を購入できるかどうかはバイヤーの目利きによるところが大きい。
国内では今でも「イブリック(ジェズベ)」を使用したコーヒーセレモニーが行われることがあり、生産から消費までコーヒーに深く密着した文化といえる。

エメラルドマウンテン

コロンビア産のコーヒー豆のブランドの一つ。
スクリーンサイズ、色、味や香りに一定の規格があり、これに合致するものをエメラルドマウンテンのブランドで販売している。
この豆を使用していることを売りとした缶コーヒーが日本コカ・コーラから発売されており、40年近いロングセラーであることもあって日本におけるブランドの知名度はかなり高い。
コロンビア産のコーヒーは、その生産自体が国の一大事業として運営され、全体的に管理が行き届いた体制で計画的に生産されている。
エメラルドマウンテンなどの「希少なブランド豆」の規定もその戦略の一つである。
機械による選別機を色、形、サイズと何度にも分けて通し、最終的に人の手と舌でチェックを行うため、精度や品質は非常に高い。
また、規格に合う豆はコロンビア産のコーヒー豆全体の3%前後と言われており、この希少性もあって高額での販売が可能になっている。
酸味が際立った素直な味わいであるとされ、特に日本やアメリカで好まれる傾向があるとされる。

オールドクロップ

収穫から2年以上が経過した非常に古い豆。
普通に保管していても香味成分はかなり抜けており、元がおいしい豆だったとしても味や香りは期待できない。
単体、もしくはブレンドのメインとして焙煎されることはもはやなく、安いブレンドの嵩増し用となるか、コーヒー原料用のコマーシャルコーヒーとして廉価で取引されることとなる。
ただし、もともとの味わいや香りが強すぎる、長期間の熟成に耐えられるポテンシャルを持っている、専用の保管装置があるなどの条件が揃った場合は、ワインやウイスキーのようにあえてじっくりと熟成させることで香味を良くする「熟成コーヒー豆」として寝かせるロースターも少数ながら存在する。

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