タンザニアの基本データ |
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国名 | タンザニア連合共和国 | |
首都 | ダルエスサラーム | |
人口 | 4620万人 | |
国土面積 | 94.5万k㎡ | |
地域 | アフリカ | |
栽培されている主な種 | アラビカ種、ロブスタ種 | |
主な処理方法 | ウォッシュト、ドライ(ナチュラル) | |
生産量 | 7.1万t | |
主な生産地 | ブコバ、キリマンジャロ | |
代表的な商品名 | キリマンジャロ |
タンザニアは、中央アフリカに位置する共和制国家です。
ポルトガル、オマーン帝国、ドイツ、イギリスなど統治国家が何度も変わった歴史を持ち、ドイツ領、およびイギリス領時代にコーヒーノキの栽培が始まったとされています。
大航海時代には奴隷貿易の重要な拠点となっていたこともありましたが、現在では金などの貴金属類やタンザナイト(宝石)の輸出、観光産業、そしてコーヒー豆やナッツ、香辛料など農産物の輸出が主要産業となっています。
タンザニアのコーヒー生産地は北のビクトリア湖周辺と、東のキリマンジャロ、南の新興産地に分類されます。
その中で、恐らく日本でもっとも有名なのが「キリマンジャロ」。
コーヒーにあまり詳しくない人や、タンザニアコーヒーなんて聞いたことがない、という方でも、「キリマンジャロ」という銘柄は耳にしたことがあるのではないでしょうか。
しかし、その名称の知名度とは裏腹に、この地域での生産量自体は意外なことにそう多くはありません。
実は現在は「タンザニア産の、ウォッシュトプロセスで処理されたアラビカ種」のコーヒー全体をキリマンジャロと呼んでおり、農園がキリマンジャロ周辺にあるかどうかは関係ないのです。
実際には南部の高原などで栽培されているものも「キリマンジャロ」の名称で販売されているため、ロットや購入元によって香味が異なっているケースも少なくないようです。
また、日本国内では大変メジャーなキリマンジャロですが、実は世界的な知名度はさほど高くはないとのこと。
日本では、1950年代に公開されたヘミングウェイ原作の映画「キリマンジャロの雪」によって、キリマンジャロという名称やブランドイメージが定着。
その結果、世界でも例外的なほど多くタンザニア産のコーヒーが輸入されるようになったそうです。
20世紀末までは社会主義的な生産体制が敷かれていたこともあり、古くからの生産地では大規模なプランテーションが現在でも存在していますが、2015年時点では個人経営の小規模な農園が生産量のかなりの割合を担うようになってきているようです。
特に南部の新興生産地では比較的若い生産者が増えてきており、著しい成長を見せているとのこと。
近年のサードウェーブやフェアトレードの動きによって、高品質なコーヒー豆が相応の対価で取引されるようになってきていることもあり、意欲的な品質向上が見込まれる状態となっています。
タンザニア全体でも品質の向上が見られるようになったという意見もあり、今後の進展に期待が高まります。
タンザニアでは、スクリーンサイズ(コーヒー豆の大きさ)と欠点豆の割合によってグレードが定められており、やや複雑です。
もっとも等級が高いのがAA(スクリーンサイズ18以上)で、欠点豆が種類ごとにそれぞれ基準割合以下の良質なものとされています。
あとはスクリーンサイズが小さく、欠点豆の購入割合が大きくなるにつれA、AB、B、C(、E)とグレードが下がっていきます。
タンザニアのコーヒー豆、特にウォッシュトプロセスを経たアラビカ種「キリマンジャロ」は、特徴的な強い酸味と芳醇な香りが特徴と言われています。
この酸味は口の中にいつまでも残るような不快なものではなく、ベリーや柑橘類にたとえられる鮮烈で爽やかなものとされ、ハイロースト~シティロースト付近でもっとも印象的になるようです。
また、さらに焙煎を進めると今度はフルシティロースト前後の焙煎度合で酸味の変わりに深い余韻を伴う心地よい苦味を持つようにもなり、中煎りとはまた異なる特徴を示してくれます。
香りとのバランスからこれ以上の深煎りに仕上げるケースはあまりないようです。
ロブスタ種も独特の深いコクと印象的な苦味があり、ブレンドに印象的なアクセントを加えるために追加されることが多いとのこと。
生産量が増えつつある近年では大量生産的なパック済み製品にもキリマンジャロの名称が見られるようになってきてもいます。
しかし、せっかくの名コーヒーです。
キリマンジャロブランドを意識して飲む最初の機会には、できるだけ信頼できる専門店やロースターのいるカフェなどで丁寧に仕上げられたものを試してみてください。
コーヒーの、特に酸味についての価値観が、大きく変わるかもしれませんよ。