ジャマイカ

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ジャマイカの基本データ
国名 ジャマイカ
首都 キングストン
人口 約270万人
国土面積 約1.1万k㎡
地域 北アメリカ
栽培されている主な種 アラビカ種
主な処理方法
生産量 約0.7万t
主な生産地 ブルーマウンテン
代表的な商品名 ブルーマウンテン

ジャマイカは、カリブ海に浮かぶ大アンティル諸島に位置する立憲君主国家です。
ジャマイカ国王を国家元首としていますが、これはイギリス国王と同一で政治的実権はほとんどなく、実質的な国家運営は首相を中心とする議会と議会によって任命される総督によってなされています。
ボーキサイトや金の輸出を主要産業とする鉱業国であり、貧富の差が社会問題となっています。
そのためか殺人や強盗といった凶悪犯罪の発生率が非常に高く、観光産業の足かせとなっているようです。
また、ジャマイカといえば日本では非常に有名な高級コーヒー、ブルーマウンテンの産地ですが、実はコーヒー豆の生産量は1万t足らずであり、主要な作物ではありません。

ジャマイカでのコーヒー栽培は18世紀、ブルーマウンテン地区で始まりました。
その後、イギリス植民地時代には環境的な適性もあり急速に発展しましたが、作業環境の厳しさやハリケーン、旱魃などの自然災害の猛威によって次第に勢いを失い、奴隷制廃止による労働人口の減少などもあって品質も低下。
第二次世界大戦終戦頃にはコーヒー産業公社(Coffee Industry Board/CIB)が設立され、品質向上や産業の復興に向けた努力がなされていますが、いまだ生産量は回復していません。

安定した製品供給がなかなか期待できないためバイヤーたちからも目が向きにくく、積極的な働きかけがないためコーヒー産業自体が発展しにくい、という悪循環に陥っているといえるでしょう。

ただ、ジャマイカ産のコーヒーがヨーロッパなど主要消費国で普及しない最大の原因は、品質や不安定さよりも価格の問題であると言われています。
自然災害や急斜面の農地が多く、大規模な機械化生産ができないジャマイカでは、生産にかかるコストからどうしても製品が割高になってしまいます。
もともと日常的にコーヒーを飲む習慣のあったヨーロッパなどではコーヒーは贅沢品ではなく日用品、という考えが強く、20世紀後半になるまでスペシャルティコーヒーを中心とした高価格なハイクオリティコーヒーは受け入れられづらかったようです。

逆に日本では、コーヒーは異国の文化を味わうことのできる非日常的体験であり、やや高価であったとしてもより差別化された製品が求められる独自の喫茶店文化がありました。
また、マイルド香り高い香味的な特徴が日本人の好みに合ったこともあって「高級で良質なコーヒー」というイメージが浸透。
1950年代から日本にセカンドウェーブの影響が現れ始める1980年代まで、モカ・マタリなどと並んで憧れの銘柄としてもてはやされることとなりました。
現在では他の生産地の品質向上や旧来の喫茶店文化の衰退から、かつてのような需要は見られなくなりつつありますが、現地に町営農園を持つ上島珈琲株式会社(UCC)などの影響もあり、今でもブルーマウンテンの名を冠するコーヒーのうち8割以上が日本に輸入されていると言われています。

ジャマイカでは、産地とその標高によって基本のグレードが定められており、等級が高いほうから、BLUE MOUNTAIN(ブルーマウンテン/規定されたブルーマウンテン山域で生産されたもの)、HIGH MOUNTAIN(ハイマウンテン/ブルーマウンテン以外の標高1000m以上1200m未満の地域で生産されたもの)、PRIME WASHED(プライムウォッシュト/上記の場所以外で生産されたもの)となっています。
また、このうちブルーマウンテンのみはスクリーンサイズでもランクが分けられ、大きいほうからNo.1(スクリーンサイズ17(6.8mm)以上18(7.2mm)未満)、No.2(スクリーンサイズ16(6.4mm)以上17(6.8mm)未満)、No.3(スクリーンサイズ15(6.0mm)以上16(6.4mm)未満)となります。
この他、ピーベリーや規定量以上の欠点豆が混入したセレクトというランクがありますが、日本で見かけるジャマイカ産コーヒー豆はほとんどがブルーマウンテンクラスとなっているようです。

一般的なコーヒー豆は、産地から各国へ流通する際は麻の袋に詰められているのが普通ですが、ブルーマウンテンは例外的に木製の樽に入って出荷されることになっています。
これはもともと、海外から小麦などを輸入した際の樽を再利用したことが始まりとされていますが、現在では専用の樽を使用しているそうです。
麻袋に比べると当然コストがかかりますが、輸送中の衝撃や温度・湿度の急激な変化から生豆を守り、麻袋よりも品質を保ちやすい効果があるとのこと。
今ではその高品質の証として、ブルーマウンテンのシンボルとされています。

日本での需要は一段落した感のあるブルーマウンテンですが、サードウェーブの影響でスペシャルティコーヒーに注目の集まる近年、ヨーロッパやアメリカなどでも次第に評価が高まってきているとのこと。
日本で愛されたその品質が世界中に再認識される日も、そう遠くないかもしれません。

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