その他のコーヒー飲料

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いつもおいしいコーヒーを淹れて飲んでいるとあまり利用することがないかもしれませんが、巷にはいろいろな種類の「コーヒー飲料」があふれています。
コーヒー、と言ってしまうのはなんとなく抵抗があるものも多いのですが、消費者のニーズに合わせて独自の進化を遂げたそれらの飲み物は、いまでは世界的にも類を見ないほどのレパートリーを誇っています。
ここではすこしだけ、そんなコーヒー飲料たちに目を向けてみましょう。

缶コーヒー

1969年に販売が開始されて以来、本来のコーヒーとはまったく違う進化を遂げた缶入りのコーヒー飲料です。
いまでは365日、24時間、いつでも豊富な種類の中から選んで買い求めることができます。
ミルクや砂糖、各種甘味料で味付けされた独特の風味は(たとえブラック系であったとしても)コーヒーそのものとは大きく異なるものになってきていますが、「コーヒーは苦手だけど缶コーヒーは飲む」という人もいるほど独自のファンの支持を集めてもいます。
甘いもの、甘くないもの、ちょっとだけ甘いもの、ブラック、ミルク入り、本格路線からキワモノ路線、時間帯やシチュエーションごとに特化した商品など、缶コーヒーだけでひとつの飲料のジャンルと捉えていいのではないかというほど多様化したラインナップは、いまや日本人の、特に忙しいビジネスマンたちの生活になくてはならないものとなっているようです。

ボトルコーヒー、紙パックコーヒー

缶コーヒーからの派生商品として生まれたボトルコーヒーと、牛乳系飲料の一種として生まれた紙パックコーヒーですが、これらもそれぞれ独自の進化を遂げてきています。
どちらも缶コーヒーに比べると甘めのものが主流のようですが、基本的な容量は350ml~500ml前後と缶コーヒーに比べてかなり多く、結果として「甘いけどごくごく飲める」というすっきり系のものが主流となっているようです。
缶コーヒーが社会人主体のマーケットとなっているのに対し、こちらは子供から学生のユーザーが多いのではないでしょうか。
特に紙パックのコーヒーは子供時代にジュースとして飲んでいたという方も多く、昔から変わらないロングセラーが目立ちます。
やはりコーヒーの味を求めて飲むようなものではありませんが、時々無性に飲みたくなるその懐かしい味わいは、缶コーヒーと同じように独自の地位を獲得しているといえるでしょう。

インスタントコーヒー

容器とお湯さえあればいつでもコーヒーを入れることのできるインスタントコーヒーの歴史は古く、1899年にアメリカ在住の日本人、加藤サトリ博士によって発明されました。
開発当初は味わいや香りも良いとは言えず、世間から注目を浴びることはありませんでしたが、第二次世界大戦中にアメリカ軍が携行品として採用したことから世界中に広まり、戦後のライフワークの変化に伴い一気に人々の生活の中に浸透していきました。
現在では原料や製造法、包装、流通の改良に伴い香味も以前に比べるとかなり良くなってきており、実際あまり質の高くないフィルターコーヒーと並べられると、どちらがインスタントか迷ってしまうこともあるほど。
「コーヒーは飲みたいけど、いちいち豆から淹れている暇はない」という人々から支持され続けています。
ちなみに、インスタントコーヒーの原料はコーヒーの生豆のうちあまり等級が高くない、いわゆる「コマーシャルコーヒー」で、インスタントコーヒーはこれらの豆の主な加工先となっているそうです。

個包装レギュラーコーヒー

「豆を挽いたりフィルターを準備したりする余裕はないけど、ちゃんとドリップしたコーヒーが飲みたい!」というニーズに合わせて開発された、コーヒーの粉が一回分ずつフィルターに入って包装されている製品です。
フィルターにはカップに引っ掛けるための台座がついており、そのままカップに乗せてお湯を注ぐだけで簡単にフィルターコーヒーが淹れられるようになっています。
淹れた後はフィルターごと捨てられるので後片付けも不要。
ただ、粉の状態に挽かれて包装されているので、どうしても風味は落ちてしまい、おいしいインスタントコーヒーと比べるとあまり差がないものも多いようです。
それでも近年は真空パック化したり窒素を充填したりと、豆の劣化を防いだまま包装する改良や努力がなされており、少しずつおいしいものも出てきているようです。
これからの発展に期待したいジャンルといえるでしょう。

ポーションコーヒー

濃縮したコーヒー飲料原液を個包装してあり、お湯などで割って飲むという、液体状のインスタントコーヒーのような製品です。
水分を完全に奪いきっていない分、揮発性の香り成分などが液内にとどまっており、インスタントコーヒーよりも香り高いコーヒーになるのが特徴のようです。
液体である分重量があったり取り扱いに注意が必要なため、例えばアウトドアなどへ携帯するのには向きませんが、インスタントコーヒーの新しい可能性を示す商品といえるのではないでしょうか。

コンビニコーヒー

近年急速に発展し、いまや完全に市民権を得た感のあるコンビニコーヒー。
コンビニ店内にあるコーヒーマシンで、店員や客自身が一杯ずつドリップコーヒーを淹れます。
何度か試行錯誤を繰り返してきたセブンイレブンが2013年からの「セブンカフェ」で大成功すると、コンビニ各社が一気に追随し、現在ではほとんどのコンビニで淹れ立てのコーヒーを飲むことができます。
豆の鮮度などはどうしても落ちますが、淹れた後で保温してあるものに比べて十分においしく、しかも一杯が100円~200円程度ということもあり、「缶コーヒーとかではなく「コーヒー」が飲みたい」という層からの支持を得ることに成功しました。
現在は「廉価で手軽」という戦略に特化した方式ですが、これからのニーズの方向性によっては、コンビニの店頭でスペシャリティコーヒーが飲める、なんて日も来るかもしれませんね。

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