アラビカ種の有名な品種:ティピカ系
ティピカ
主に東南アジアやコロンビアで広まった原産品種です。
ブルボンと同じく現在では原種はほとんど見られません。
サビ病や直射日光への耐性の低さが生産性を低下させており、その点をカバーする形での品種改良が進められました。
やはり生産性の高い改良種よりも品質が高いため、近年では「純粋なティピカ」を標榜する商品もちらほら見られるようになってきていますが、元の特徴を知る人がいない今となっては、その真贋を見極めるのは難しいといわれています。
香り高い、はっきりとした味わいが特徴とされています。
ティピカ | |||||
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特徴 | 香り高くはっきりとした味わい | ||||
香り | ひかえめ | ややひかえめ | ふつう | ややはなやか | はなやか |
○ | |||||
酸味 | マイルド | ややマイルド | ふつう | やや刺激的 | 刺激的 |
○ | |||||
苦味 | マイルド | ややマイルド | ふつう | ややストロング | ストロング |
○ | |||||
コク | さっぱり | ややさっぱり | ふつう | ややしっかり | しっかり |
○ |
ジャバ(ジャワ)
17世紀にインドネシアで栽培が始まった、世界最古の品種の一つです。
ティピカ系から派生し、カネフォラ種に取って代わられるまでジャワ島の主流品種でした。
同じく世界最古の品種、イエメン・エチオピアのモカと並び称されることが多く、高品質な(もしくは有名な)コーヒー豆を「モカジャバ」と表現していた時代もあったとのこと。
19世紀のサビ病の大流行でほぼ壊滅してしまったため現在はほとんど栽培されていませんが、企業資本による農園開発もはじまっており、今後少しずつ回復していくのではないかと言われています。
酸味はほとんどありませんが香り高く、多少焙煎度合がばらついてもすっきりとしておいしく飲める品種です。
なお、米国のSUN MICROSYSTEMSによって開発され、現在ORACLE社によって提供されているプログラミング言語のJavaは、このコーヒー品種名から名称を取っており、それにちなんでロゴにコーヒーカップのデザインを採用しているそうです。
ジャバ(ジャワ) | |||||
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特徴 | 香り高く酸味のほとんどないすっきりした味わい | ||||
香り | ひかえめ | ややひかえめ | ふつう | ややはなやか | はなやか |
○ | |||||
酸味 | マイルド | ややマイルド | ふつう | やや刺激的 | 刺激的 |
○ | |||||
苦味 | マイルド | ややマイルド | ふつう | ややストロング | ストロング |
○ | |||||
コク | さっぱり | ややさっぱり | ふつう | ややしっかり | しっかり |
○ |
ブルーマウンテン
ジャマイカで栽培されている高級品種の一つです。
ブランドとしてのブルーマウンテンとは分けて考えられており、こちらは「ブルーマウンテン山域周辺で栽培されていた一品種」を示します。
大粒で、特に高山域で優れた品質を発現するとされています。
現在はケニアやパプアニューギニアにも移植されていますが、それらは品種は同じでもブランドとして「ブルーマウンテン」を名乗ることはできません。
そのため、現在では単に「パプアニューギニア」としたり、イメージだけ似せて「トロピカルマウンテン」などというブランド名をつけて販売されているようです。
香りはジャマイカのものほどではありませんが、柔らかな酸味と素直な喉越しは十分良質なコーヒーといえる素質があるとされます。
ブルーマウンテン | |||||
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特徴 | 柔らかな酸味と素直な喉越し | ||||
香り | ひかえめ | ややひかえめ | ふつう | ややはなやか | はなやか |
○ | |||||
酸味 | マイルド | ややマイルド | ふつう | やや刺激的 | 刺激的 |
○ | |||||
苦味 | マイルド | ややマイルド | ふつう | ややストロング | ストロング |
○ | |||||
コク | さっぱり | ややさっぱり | ふつう | ややしっかり | しっかり |
○ |
スマトラ
インドネシアのスマトラ島で栽培されているティピカ系の品種です。
現在はマンデリンと呼ばれることのほうが多くなっています。
また、近年のアラビカ種回帰で植えられた、マンデリンとは違う品種のコーヒーも、産地名でスマトラと呼ばれることがありますが、こちらは必ずしもティピカ系の品種ではないようです。
酸味は控え目でどっしりとしたコクがあり、スモーキーな香りが特徴とされています。
スマトラ | |||||
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特徴 | どっしりとしたコクとスモーキーな香り | ||||
香り | ひかえめ | ややひかえめ | ふつう | ややはなやか | はなやか |
○ | |||||
酸味 | マイルド | ややマイルド | ふつう | やや刺激的 | 刺激的 |
○ | |||||
苦味 | マイルド | ややマイルド | ふつう | ややストロング | ストロング |
○ | |||||
コク | さっぱり | ややさっぱり | ふつう | ややしっかり | しっかり |
○ |
コナ
ハワイ島で栽培されている高級品種のひとつです。
高級である理由は品質や珍しい生産方法ではなく、単純にコーヒー生産地の中では例外的に先進国であるため、人件費などが高くその分価格も高くなっている、ということのようです。
ハワイ島の西部、フワラライ山の中腹で生産されたコーヒーのうち、一定の基準異常の品質を認められたもののみがコナコーヒーを名乗ることができるとされています。
ただ、ブレンドの場合はコナが10%以上はいっていればいいとされているので、妙に安い商品はブレンドではないかを確認したほうが良いでしょう。
すっきりとした酸味とマイルドな味わいを特徴としており、「中煎りの豆を少なめに使って薄めに淹れ、大きなマグカップでたっぷりと飲む」というような気取らない飲み方に適しています。
コナ | |||||
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特徴 | すっきりとした酸味とマイルドな味わい | ||||
香り | ひかえめ | ややひかえめ | ふつう | ややはなやか | はなやか |
○ | |||||
酸味 | マイルド | ややマイルド | ふつう | やや刺激的 | 刺激的 |
○ | |||||
苦味 | マイルド | ややマイルド | ふつう | ややストロング | ストロング |
○ | |||||
コク | さっぱり | ややさっぱり | ふつう | ややしっかり | しっかり |
○ |
ケント
1920年にインドで発見された、ティピカの突然変異種です。
発見された農園の持ち主であった英国人、ロバート・ケント氏からその名を取ったとされています。
ティピカの弱点であった耐病性の低さを克服し、しかも収穫量が非常に多い優良種です。
現在でもインドはもちろん、各国で栽培されています。
酸味は控え目で、他の品種と共にブレンドに加えられることが多いようです。
ケント | |||||
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特徴 | 酸味控えめのどっしりとした味わい | ||||
香り | ひかえめ | ややひかえめ | ふつう | ややはなやか | はなやか |
○ | |||||
酸味 | マイルド | ややマイルド | ふつう | やや刺激的 | 刺激的 |
○ | |||||
苦味 | マイルド | ややマイルド | ふつう | ややストロング | ストロング |
○ | |||||
コク | さっぱり | ややさっぱり | ふつう | ややしっかり | しっかり |
○ |
マラゴジペ
ブラジルで発見された、ティピカの突然変異種です。
別名エレファントビーンズとも呼ばれるほど、一見して分かる粒の大きさが特徴です。
コーヒー豆だけではなく、コーヒーチェリーも葉も枝も、樹体全体が大型化しているため、ニカラグアのような品種別に分かれていない栽培・生産方法を取っている国でも、品種を特定した状態で商品化されることが多かったようです。
樹自体が大きい分栄養を多く必要とし、場所をとり、収穫も大変になります。
普通に育てると大味でぼんやりとした風味になり、その上収穫量も多くない(コーヒーチェリーも大きいので、たくさん実がつかない)ため、生産性が低い品種としてあまり定着しませんでした。
しかし、しっかりと手をかけて育てると、見た目からは想像できないような繊細できれいな酸味や果物のような甘みを持つようになるとされ、近年のニーズの変化の中で見直されつつある品種の一つとなっています。
マラゴジペ | |||||
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特徴 | 綺麗な酸味と果物のような甘み | ||||
香り | ひかえめ | ややひかえめ | ふつう | ややはなやか | はなやか |
○ | |||||
酸味 | マイルド | ややマイルド | ふつう | やや刺激的 | 刺激的 |
○ | |||||
苦味 | マイルド | ややマイルド | ふつう | ややストロング | ストロング |
○ | |||||
コク | さっぱり | ややさっぱり | ふつう | ややしっかり | しっかり |
○ |