
アラビカ種の有名な品種:ブルボン系
ブルボン
ブルボン系品種の祖となった原種です。
生産性の低さから品種改良を繰り返されたため、今では本当の原種は一部の小生産国以外ではほぼ見られなくなっています。
しかし、近年では「生産性は低くても品質は良い」ということで見直されつつあり、純粋なブルボンを保護して増やそうという動きもあるようです。
ブラジルやコロンビア系と同じく、苦味や酸味がマイルドで甘みとコクのある味わいとされています。
ブルボン | |||||
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特徴 | マイルドで甘みとコクのある味わい | ||||
香り | ひかえめ | ややひかえめ | ふつう | ややはなやか | はなやか |
○ | |||||
酸味 | マイルド | ややマイルド | ふつう | やや刺激的 | 刺激的 |
○ | |||||
苦味 | マイルド | ややマイルド | ふつう | ややストロング | ストロング |
○ | |||||
コク | さっぱり | ややさっぱり | ふつう | ややしっかり | しっかり |
○ |
モカ
イエメンとエチオピアでコーヒー産業の最初期から現在まで栽培され続けている、最古の品種のひとつとも言うべき品種です。
生産地ごとにモカ・ハラル、モカ・マタリなどと呼び分けられます。
野趣味あふれるコーヒー豆の見た目と、それに似つかわしくない(逆に似つかわしい?)複雑で絶妙な香味は、熱心なファンを魅了し続けています。
モカ | |||||
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特徴 | はっきりとした酸味と独特の香り | ||||
香り | ひかえめ | ややひかえめ | ふつう | ややはなやか | はなやか |
○ | |||||
酸味 | マイルド | ややマイルド | ふつう | やや刺激的 | 刺激的 |
○ | |||||
苦味 | マイルド | ややマイルド | ふつう | ややストロング | ストロング |
○ | |||||
コク | さっぱり | ややさっぱり | ふつう | ややしっかり | しっかり |
○ |
カトゥーラ
1915年にブラジルで発見された、ブルボンの変異種です。
直射日光や病気に強く、成長してもあまり樹高が高くならないためとても栽培しやすい品種として全世界に広まりました。
ただし、ブルボンと同じく毎年は収穫できず、生産性はあまり高くないようです。
全体的に味わいが強く出るのが特徴で、渋みも出やすいとされています。
カトゥーラ | |||||
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特徴 | 味わいと渋みが強く出がち | ||||
香り | ひかえめ | ややひかえめ | ふつう | ややはなやか | はなやか |
○ | |||||
酸味 | マイルド | ややマイルド | ふつう | やや刺激的 | 刺激的 |
○ | |||||
苦味 | マイルド | ややマイルド | ふつう | ややストロング | ストロング |
○ | |||||
コク | さっぱり | ややさっぱり | ふつう | ややしっかり | しっかり |
○ |
K7
ケニアのビクトリア湖周辺で見つかった、ブルボン系の変異種です。
サビ病のほか、コーヒーチェリーが黒く変色して落ちてしまう病気(CBD)にも耐性があり、病害への抵抗力が必要な土地での栽培に適しています。
カネフォラ種のように低標高地での栽培にも適応しますが、同じくカネフォラ種のように一般的なアラビカ種に比べると香味が劣ります。
K7 | |||||
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特徴 | 耐病性に優れるブルボン系変異種 |
SL28
タンザニアで発見され、ケニアのスコット研究所で生み出された品種です。
スコット研究所は現在のNATIONAL AGRICULTURAL RESEARCH LABORATORIES(国立農業研究所)の前身で、現在もケニアで栽培されている優れた品種をいくつも生み出したことで有名です。
SLはSCOTT LABORATORIES(スコットラボラトリーズ/スコット研究所)の略で、SL28はここで生み出された28番目の品種である、という意味です。
通常レベルの乾燥に強いのが特徴で、しかも「ケニアフレーバー」と呼ばれる独特の香味を持っています。
酸味とコクのバランスが絶妙で、その香りとあわせて柑橘類やワインに例えられることもあるようです。
SL28 | |||||
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特徴 | ケニアフレーバーと呼ばれる独特の香りと、酸味・コクのバランスが良い | ||||
香り | ひかえめ | ややひかえめ | ふつう | ややはなやか | はなやか |
○ | |||||
酸味 | マイルド | ややマイルド | ふつう | やや刺激的 | 刺激的 |
○ | |||||
苦味 | マイルド | ややマイルド | ふつう | ややストロング | ストロング |
○ | |||||
コク | さっぱり | ややさっぱり | ふつう | ややしっかり | しっかり |
○ |
SL34
ケニアのスコット研究所で生み出された品種です。
研究所近辺で実験的に栽培していた中から発見・選定され、研究所の34番目の品種となりました。
高標高地帯での栽培に適しており、通常のアラビカ種が育ちにくいような雨量の多い地域でも栽培することが可能です。
SL28と同じく病気に弱く、やや生産地を選ぶ品種といえます。
独特の香りや華やかな酸を持ちますが、深いコクとあいまって絶妙なバランスを保っている良品とされています。
SL34 | |||||
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特徴 | 香りを引き立てる爽やかな酸とコク | ||||
香り | ひかえめ | ややひかえめ | ふつう | ややはなやか | はなやか |
○ | |||||
酸味 | マイルド | ややマイルド | ふつう | やや刺激的 | 刺激的 |
○ | |||||
苦味 | マイルド | ややマイルド | ふつう | ややストロング | ストロング |
○ | |||||
コク | さっぱり | ややさっぱり | ふつう | ややしっかり | しっかり |
○ |
N39
タンザニアのリャムングコーヒーリサーチステーション(LYAMUNGU COFFEE RESEARCH STATION)で開発された品種です。
SL28と同じように耐乾燥性があり、香味が非常に優れています。
サビ病など病害への耐性が低いのが問題とされていましたが、エアルーム系ルメスダンやハイブリッド品種ティモールとの交配で耐病性を持たせる研究も進んでおり、実際すでに数種類が実用化されています。
N39 | |||||
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特徴 | すっきりした喉越しの、バランスの取れた香味 | ||||
香り | ひかえめ | ややひかえめ | ふつう | ややはなやか | はなやか |
○ | |||||
酸味 | マイルド | ややマイルド | ふつう | やや刺激的 | 刺激的 |
○ | |||||
苦味 | マイルド | ややマイルド | ふつう | ややストロング | ストロング |
○ | |||||
コク | さっぱり | ややさっぱり | ふつう | ややしっかり | しっかり |
○ |