Point2:形状の違い
ドリッパーを選ぶ上で恐らくもっとも悩ましいのがこの「形状の違い」ではないでしょうか。
例えば単純にサイズが違うとか、明らかに特殊な形をしているものならまだなんとなく違いも分かるかもしれませんが、台形と円錐の違いや底面の穴のサイズがコーヒーにどう影響するのかを最初から感覚的に理解することはできないでしょう。
ましてや穴の数、リブの違いなどは言われてみないと分からないレベルで、はじめてドリッパーを選ぶ人の思考を停止させてしまうのに十分です。
全部まとめて考えると混乱してしまいますので、ひとつずつ分けて見ていきましょう。
台形と円錐形
形状の違いとしてはもっとも目立つものの、実際コーヒーの味にどんな影響があるのか一番分かりづらいのが、この台形と円錐形の差ではないでしょうか。
ドリッパーを幾つも所有して飲み比べている、という研究熱心な人でなければ、ハンドドリップ歴の長い方でも実はよく分かっていないケースも少なくないようです。
台形のドリッパーの場合、底面全体が抜けていることはまずなく、一部にいくつかの穴があいた状態になっています。
そのため、下まで降りたコーヒーが濾過される前に底部付近に停滞するようになります。
逆に円錐型の場合は三角形の先端を切り取ったような形になるためこの「溜まり」がなく、降りていったコーヒーはとどまらずに濾過されていきます。
この違いにより、台形のドリッパーの方が各種の味わいがシームレスに溶け合ったまろやかな風味、円錐型の方が酸味、苦味などがくっきりと際立った味わいになりやすいと言われています。
もちろんコーヒーの挽き目やお湯の落とし方でも変わってきますのであくまでも目安ですが、自分の好みに近い味わいを出しやすい方を選んだほうが良いでしょう。
穴の数とサイズ
これは特に台形ドリッパー内での差になりますが、底面の穴の違いもコーヒーの味わいに大きく関わってきます。
これは感覚的にも理解しやすいと思いますが、穴が多く、大きいほどスムーズにコーヒーが落ちていくことになります。
必然的にドリッパー下部で溜まっている時間も短くなりますので、その分すっきりとした味わいになります。
味や香りの層の厚い、どっしりとしたコーヒーが好みなら穴の少ない・小さいドリッパーを、円錐よりは濃いほうがいいけどあまり濃すぎても・・・という方は穴の多い・大きいドリッパーを選ぶと淹れやすくなるはずです。
リブの違い
ドリッパー内部についているでこぼこの構造をリブといいますが、これもドリッパーごとに異なる特徴を持っています。
穴の数などと同じように各メーカーごとに独自の理論に基づいて設計されていますが、コーヒーの味わいへの影響については穴の問題よりもちょっと複雑で、一概には言えないようです。
リブの役割は基本的には「ペーパーフィルターとドリッパーの間をお湯が通ってしまうことを避けること」と「粉が膨らんだり動いたりする自由度を確保すること」の二つだといわれています。
お湯が外へ逃げてペーパーとドリッパーの間を通ってしまうと、コーヒーから成分を引き出しきれずに抽出が終わってしまい、薄く偏った味わいのコーヒーになってしまいます。
また、基本的に硬質なドリッパーの中ではお湯を吸った粉が膨らむスペースが確保しきれない可能性があり、密集しすぎたコーヒーの中を通れないお湯が外へ逃げていってしまう恐れがあります。
リブはこのような事態を避けるために必要な構造なのですが、挽き目やお湯の注ぎ方によって相性の良し悪しがあるため、「どの形状のものだとどんな味」と単純に説明することができません。
一応、各メーカーともホームページの商品説明などに特徴を載せていますので、どうしても気になるようであればそちらを確認して好みのイメージに近いものを選んでみましょう。
また、いずれのドリッパーのリブも、メーカー純正のフィルターと合わせたときにもっとも効果を発揮できるようになっているようですので、できるだけ合わせて使用してみると違いが分かりやすいかもしれません。
まとめ2
- ドリッパーの形状の違いは淹れるコーヒーの味に深く関わっている
- 台形のドリッパーは下部に溜りがある分濃い目のまろやかな味わいに、円錐のドリッパーはストレートに落ちるためくっきりと際立った味になりやすい
- 穴の数が少なく、サイズが小さいほど濃厚な味に、穴が多く、サイズが大きいほどすっきりとした味わいになりやすい
- リブはお湯やコーヒー粉の動きに大きな影響を与えているが、諸説があるためどの形状だとどんな味、とは分類しにくい。
気になる場合はメーカーのホームページなどで確認を