Point1:ハンドピック
ハンドピックとは、生豆の段階や焙煎中、焙煎後に欠点豆を取り除く作業のことで、地味ではありますが実はとても大切な工程です。
他の全ての工程において完璧な焙煎ができたとしても、この準備段階での工程で躓いていると信じられないくらい悲惨な仕上がりになることも少なくないのです。
取り除くべき欠点豆は、未熟豆・発酵豆、変形・欠損豆、ピーベリー、サイズが不揃いな豆など。
特に未熟豆や発酵豆は、それ単体が煎っても消えない不快な香味を持っており、一粒でも混ざるとコーヒーの味を損ねてしまいます。
焙煎したコーヒーを飲んだときに、同じ回の焙煎なのにおいしく飲めるときと変なえぐみや臭みを感じるときがあるようなら、未熟豆や発酵豆の仕業かもしれません。
これらは他の欠点豆に比べて最初は見分けるのが難しいかもしれませんが、焙煎しても妙に白っぽいままだったり艶や色に違和感がある場合が多いようです。
はじめのうちはインターネットや専門書などで写真を見て、特徴を掴むようにしたほうがいいかもしれません。
変形豆や欠損豆も、収穫から生豆になるための処理、もしくは流通段階でなんらかの問題が発生している可能性が大きく、形状によってはカビなどが生えている場合もあります。
形が一定でないと火の通りも悪くなり、生焼けや焦げ豆の原因にもなります。
ピーベリーとは、本来コーヒーチェリーひとつにつき二つ育つべきだった種子が、何らかの理由で一つしか育たなかったものです。
コーヒー豆特有の平たい面がなく、ピーナッツのように楕円形をしています。
当然、他の同じサイズのコーヒー豆に比べて火の通り方が悪く、一緒にして焙煎するとピーベリーだけが生焼けになってしまうのです。
(ただし、ピーベリーだけで焙煎した場合は均一に火を通すこともできるため、近年ではピーベリーだけを集めて販売している農園もあり、その希少性などから高額で取引されているようです)
サイズの違いは極端なものでなければ無視することもできるのですが、より厳密な焙煎を目指す場合はある程度サイズ別に分けたほうがいいでしょう。
サイズのそろった豆は火の通り方も均一になりやすく、より好みの香味に近づけやすくなります。