番外編:道具の整備
どんなに抽出の腕が上がっても、舌や鼻が敏感になっても、道具がきれいに整備されていなければおいしいコーヒーを淹れることはできません。
それがもっとも顕著にあらわれるのはミルです。
使ったまま簡単な掃除もせずに置いておくと、中にたまった粉が酸化していきます。
それが次に挽いた粉に混じれば、どんなに新しい豆を使って淹れても古い粉の味が混ざったコーヒーになってしまうのです。
粉を軽く落とす、外から見える部分だけでもはけでさっとはらうなどの簡単な手入れでいいので、使用するごとに行うようにしましょう。
また、数週間~一ヶ月に一度程度は簡単に分解し、ぬるま湯で洗うのも効果的です。
洗剤を使用したり、よく乾かさずに元に戻すと異臭の原因になるので気をつけましょう。
コーヒーが落ちるサーバーや毎回粉に触れるドリッパーも、さっとお湯で流すくらいでは落ちきらない汚れが溜まっていきます。
他の食器と同じように洗い、きちんと乾かして保管しましょう。
ペーパーフィルターは匂いや湿気を吸いやすいものですので、できれば密閉できる容器などで保管します。
液体でも保管できるタイプの密封できる袋などを活用して小分けにするのもいいかもしれません。
どれもちょっとしたひと手間ではありますが、これを実行することでコーヒーの味わいも大きく変わってくることでしょう。
せっかく淹れたコーヒーが好みの味になっていない、というのはとても悲しいことです。
何度繰り返してもおいしくならないと、もう自分で淹れるのはやめてしまおうか、と感がることもあるかもしれません。
でも、何度も試行錯誤を繰り返し、少しずつ改善した先に思ったとおりの一杯を入れられた、という喜びは苦労するだけの甲斐があるすばらしい経験です。
人の好みが千差万別である以上、どんな名店で淹れてもらうコーヒーも、必ず自分の好みに合うとは限りません。
そんなとき、自分自身で求める一杯を入れられたらどんなに楽しいことでしょう。
うまくいかなかったり失敗することもありますが、コーヒーを淹れることはそれだけで楽しいことといえます。
この記事でご紹介した方法で楽しみながらコーヒーを淹れているうちに、いつの間にか何も意識しなくても思い通りのコーヒーを淹れられるようになっていることでしょう。