6、ハンドピックは完璧であるべきか
一度味わいの違いを知ってしまうと、さらに完璧な状態を目指したくなる方も多いでしょう。
実際、何度も繰り返しハンドピックをすることで見分ける目も技術もついてきますので、どんどん精度は上がっていくはずです。
しかし、完全に欠点豆を取り除いていくと、コーヒー豆の種類によってはかなりの量を省かねばならないことになります。
また、時間と手間がかかるようになるため、自家焙煎が億劫になってしまう可能性もあります。
欠点豆は完璧に取り除かねばならないのでしょうか。
プロのロースターでも、一粒ずつ手に取るようにして欠点豆を選っている、という方はほとんどいません。
もちろん、完璧なハンドピックは手間がかかりすぎ、使用できる豆の原価も何倍にもなってしまうので当然といえば当然なのですが、それ以上にそこまで完璧に仕上げる意味がない、と考えられている方が多いようです。
ハンドピックはコーヒーの味を良くすることが目的です。
発酵豆や未熟豆はしっかり取り除かねばいけませんが、変形豆などは軽微なものが少しくらい混ざっていてもほとんど味に影響がありません。
逆にサイズの違う豆やピーベリーがはいることで独特の味になっている種類の豆もあり、そういった豆に完璧なハンドピックをしてしまうと特徴も削ぎ取ってしまうので逆効果です。
程度の大小、好みの問題などもありますが、必ずしも完璧にそろった豆が一番おいしい、というわけではないのです。
自分で自分の好みの味わいを追求する自家焙煎は、実は焙煎の前からすでに始まっています。
色々な状態のものを焙煎し、その感想を踏まえて次のハンドピックを調整することで、少しずつ自分好みのレベルが定まってくるでしょう。
ひと手間で大きく味わいを変えるハンドピックで、1ランク上のおいしさを探し出してください。