生産国の事情|世界のコーヒー事情2

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生産国の事情

全世界で親しまれているコーヒーですが、それを生産する国がそれによって十分な利益を得ているかといえば、残念ながらそうとは言えない状況です。
もともとコーヒー豆の生産国や生産地域は、ヨーロッパ諸国が植民地として支配しているときに、自国の貿易政策のひとつとしてコーヒー栽培を始めさせたケースが多く、独立したあとも不平等な取引が横行していました。
現在でも通貨格差などもあり、消費国側からみるとかなり安い賃金で働いている生産者がほとんどです。
コーヒーの買い取り価格は世界全体の需要と供給によって決定されるため、中小生産国が多少頑張っても収入を劇的に増やすことができなくなっていることも問題です。

また、コーヒーノキ自体があまり強い植物ではないため、災害や病害によって生産量が極端に落ちる年もありますが、設備や農薬などそれらに対処する資金すらない国も少なくありません。
他の作物を育てて致命的な被害を被らないようにする程度が関の山で、数年不作が続いただけで栽培を続けられなくなってしまう生産者もいます。
そのため、余力のある国では栽培面積のうち、コーヒーに割く部分を縮小するケースも見られるようになってきました。
実際、世界大戦終結後に紛争などがあまりなかったアジアやアフリカの一部では、他の産業が発達してきたことで不安定なコーヒー生産業が廃れてしまった国もあります。
コーヒーノキはどこでも育つ植物ではなく、一定以上の品質を求めようと思うとコーヒーベルトに含まれる適性地域に頼らざるを得ないため、その周辺の国が栽培をやめてしまっても他の国でカバーすることは容易ではありません。

こうした問題を解決するため、20世紀後半からヨーロッパを中心に「フェアトレード」運動が行われてきました。
これは国際的なコーヒー買取価格に関わらず、生産者が生活を安定して維持し、次回以降の生産に向けて投資できる価格を最低買取額として取引をするという運動で、コーヒーだけではなくカカオやナッツ類、衣類など軽産業でも広がっています。
この取引方法であれば、生産者は自分たちの努力でどうにもならない価格の上下に振り回されることなく、安心してコーヒー栽培に専念することができます。
また、生産効率を上げる設備に投資したり最新の知識を身につけることで、フェアトレード団体の助力を受けなくても国際市場で戦っていけるような力を培い、いずれは自立することができるような支援の形となっています。
近年は欧米諸国以外にもフェアトレードの動きや関心が広まっており、日本からもいくつかのNPO団体や企業が参加しています。

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