コーヒーに対する意識の変化
コーヒー界のウェーブごとの対比 | ||||
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名称 | スタート時期 | 特徴 | 主な思想、方針 | 中心となる商品 |
ファーストウェーブ | 19世紀末頃 | 技術の進歩による大量生産、大量消費 | 各製品の味や香りはあまり問わず、安さ、手軽さ、生産性を求める | 焙煎済みコーヒー豆、インスタントコーヒー |
セカンドウェーブ | 1970年代 | ライフスタイルにも影響する、個性の追求 | コーヒー豆の違いを楽しんだりドリンクをカスタマイズするなど、自分なりの楽しみ方を探す | カフェラテを中心とするエスプレッソ系飲料 |
サードウェーブ | 2000年前後 | 豆の詳細な産地や品種の違いを追及 | 丁寧な抽出でコーヒー本来の違いを楽しむ、農園単位で製品の差別化を意識 | 日本の喫茶店のような一杯点てのハンドドリップコーヒー、スペシャルティコーヒー |
20世紀から21世紀にかけては、世界全体の関係性や社会のあり方が激変した時代でした。
それに合わせて、コーヒーに関してもわずか100年あまりの間になんども意識の転換が起こっています。
第一次世界大戦直前から第二次世界大戦直後までは、大量生産・大量消費の時代でした。
技術の向上や消費国の増大からコーヒー豆の生産量も増え、それをインスタントコーヒーなどに加工する技術も登場します。
とにかくたくさん作ってたくさん消費する、品質についてはあまり問わない、という風潮があり、コーヒーについてもわずかな味や品質の違いよりも生産性や効率が求められました。
それが、大きく変化したのは1970年代。
スターバックスなど、シアトル系のカフェが主導となって、生産地や品種による風味の違いを楽しみ、みんなと同じではなく自分だけの特別なコーヒーを求める「セカンドウェーブ」が巻き起こり、世界中に広まっていきました。
これが大量生産品や人と同じ選択肢しかない人生に飽きていた人々に熱狂的に受け入れられ、コーヒーのみならず働き方や生き方といったものにまで影響を及ぼしたのです。
そして今世紀、再度巨大な変化のうねりが世界に広がろうとしています。
シアトル系カフェが開いた扉からもう一歩進み、一杯ずつハンドドリップで丁寧に淹れる事で、コーヒー豆が本来持っている個性を引き出し味わおうというその動きは「サードウェーブ」と呼ばれ、コーヒーを消費する国々にしだいに浸透しています。
そして、それら消費国の変化は生産国にも影響を与えはじめました。
生産される国ごと、地域ごと、場合によっては農園ごとに区別して評価され、良質なコーヒーが高値で取引されるようになったため、生産者側も他との差別化を意識した栽培方法や品種の開拓に力を注ぐようになってきたのです。
一定以上の品質のコーヒーをスペシャルティコーヒーとして区別することや、カップオブエクセレンス(COE)の開催なども、その動きを後押ししているといえるでしょう。
焙煎技術の向上もあり、少し前では考えられなかったほどのバリエーションとクオリティのコーヒーが販売され、コーヒーという飲みものそのものの印象まで変えつつあるのです。